肉様植物性たん白(組織状たん白)
「おいしさ」の実現にむけて
昨今、健康や環境問題への意識の高まり、世界的な人口増加や新興国の経済発展による生活レベルの向上に伴うタンパク質クライシスへの懸念から、世界中で食肉に代わるタンパク源として「植物性代替肉」が注目されています。欧米を中心に市場は拡大しており、日本においても食品企業による参入や外食産業におけるメニューの導入が進み、植物性代替肉を目にする機会も増えています。一方で、植物性代替肉を含めたプラントベースフードに対して、おいしさや満足感に物足りなさを感じているといった声もあり、おいしさの実現が求められていると考えられます。
*タンパク質クライシス:タンパク質の需要と供給のバランスが崩れること
*プラントベースフード:ほとんどが植物由来原料から作られた食品のこと
製品情報
1. 小麦由来の植物性代替肉素材「Whetabel」とは?
「Whetabel」は、小麦グルテンを原料に、エクストルーダーを利用して製造される小麦を由来とした植物性組織化タンパク質(Texturized Vegetable Protein;TVP)です。小麦は、トウモロコシ、米と並んで「世界三大穀物」の1つとして、世界中で栽培され、私たちの身近な食品にも幅広く使用されています。グリコ栄養食品は、これまで小麦グルテン・デンプン事業において培ってきた物性改変技術を駆使し、「Whetabel」を開発しました。
2. 癖のない風味と肉らしい食感を持つ小麦由来TVP品
小麦由来TVPは、日本国内で植物性代替肉の原料としてよく使用される大豆やエンドウ由来のTVPに比べて、癖がない自然な穀物の風味で、特有の繊維状の構造により、硬く弾力がありながら歯切れのよい食感を示すことが特長です。Whetabelは、独自の物性改良技術により、より繊維感・弾力感に優れ、本物の肉に近い食感を実現することができます。また、風味に癖がないため、シンプルな味付けでもおいしさを実現できる植物性代替肉素材です。
製品ラインナップ
Whetabel N10
● 名称:小麦加工品
● 表示例:
①繊維状小麦たん白(粉末状小麦たん白、小麦粉、酵母エキス)
②繊維状小麦たん白(小麦たん白、小麦粉、酵母エキス)
③繊維状小麦たん白(グルテン、小麦粉、酵母エキス)
④粒状小麦たん白(粉末状小麦たん白、小麦粉、酵母エキス)
● 小麦由来植物性組織化タンパク質
● 形状:薄い茶褐色円柱状(約10mm四方)
● 粗タンパク質:65%以上(乾物として)
● 硬く弾力がありながら、歯切れのよい食感
● 畜肉様の繊維感
● 癖のない自然な穀物の風味
製品特徴
◆肉様の繊維状構造を形成
まず、Whetabel N10、一般的な大豆およびエンドウ由来YVPをそれぞれ水戻しして手で割いた様子を比較しました。大豆由来TVPは層が折り重なったような形状をしており、エンドウ由来TVPは大豆に比べると繊維感を形成していました。一方で、Whetabel N10は細かな繊維が集合し、しっかりとした組織を形成していることが確認できました。
また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、Whetabel N10、実際の畜産物である牛バラ肉、一般的な大豆由来TVPの組織における繊維構造を観察したところ、牛バラ肉は繊維構造が束状になっており、一般的な大豆由来TVPは湯葉のような層状の繊維構造が確認されました。一方で、Whetabel N10は牛バラ肉と同様に繊維構造が束状になっていることが確認され、これはWhetabel N10の原料である小麦グルテンの性質に起因していると考えています。
◆繊維感・弾力に優れ、肉本来の食感を実現
テクスチャーアナライザーを用いて、市販のチキンナゲット、Whetabel N10を使用したナゲット、一般的な大豆およびエンドウ由来TVPを使用したナゲットの食感の評価を行なったところ、市販のチキンナゲットとWhetabel N10を使用したナゲットでは、硬さ(Force)の最高値においてギザギザとした波形を示し、破断するまでに一定の時間を要することが確認できました。このギザギザとした波形は、束状になった繊維を噛み切る際の肉特有の食感を示していると考えています。
一方で、大豆由来TVPを使用したナゲットでは、硬さの最高値が低く、破断するまでの時間も短く、硬さや弾力が弱いことが示唆されました。また、エンドウ由来TVPを使用したナゲットは、脆くて崩れやすく、測定開始後2秒ほどでボロボロと崩れ落ち、大豆およびエンドウ由来TVPのいずれにおいても肉特有の食感と思われる波形を確認することはできませんでした。
以上のことから、Whetabel N10は、本物の肉と同様の細かな繊維が集合した構造をもつことより、硬さや弾力だけではなく、特有の繊維を噛み切るような食感を持つことが示唆されました。
◆風味に癖がないため、シンプルな味付けでもおいしさを付与
植物性代替肉の原料として使用されることが多い大豆やエンドウ由来TVPは風味が強く、味付けした加工品の風味を阻害することが課題となっています。
Whetabel N10、大豆およびエンドウ由来TVPのにおいの程度を官能検査にて数値化したところ、大豆およびエンドウ由来TVPは、Whetabel N10に比べてにおいが強いことが分かりました。
また、Whetabel N10と一般的な大豆由来TVPについて、大豆特有の香気成分を分析したところ、Whetabel N10では、青臭さの主成分であるヘキサナール(Hexanal)だけでなく、その他の香気成分においても検出値が低いことが分かりました。 このようにWhetabel N10は癖がなく自然な穀物の風味であるため、シンプルな味付けでもおいしさを実現することができます。
◆食品アプリケーション例
Whetabel N10は、畜産物、水産物といろいろな食品にご利用いただくことができます。
【畜産物】
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チキン風ナゲット
(粒状大豆たん白使用) -
薄切り肉風
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ハンバーグ風
【水産物】
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エビ風フリッター
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フィッシュ風フライ
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ツナ風
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