クラスター デキストリン®(化粧品用原料)*
KEYWORD:
臭いの低減(消臭)、香りの維持、粉末化基剤、植物由来、包接、徐放、
高度分岐環状デキストリン、マルトデキストリン
商品情報
1. 「クラスター デキストリン」とは?
クラスター デキストリンは、Glicoグループが世界で初めて開発に成功した高分子のデキストリン(高度分岐環状デキストリン)です。ワキシーコーンスターチを起源とし、ブランチングエンザイム※の働きにより、デンプンの基本的な構造単位であるクラスター構造をほぼそのまま保持しています。様々な機能・効果が確認されており、食品、化粧品、日用品など幅広い用途で利用されています。
※1 ブランチングエンザイムは、動物、植物、微生物に広く存在する糖転移酵素です。澱粉の成分であるアミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目に特異的に作用し、環状化を行いながら分解します。
2. 高分子かつ分子量分布が狭いデキストリン
一般的なデキストリンの製造法では、原料となる澱粉がランダムに分解されるので、高分子を目的としたデキストリンを製造しようとしても低分子のデキストリンや未分解の澱粉が一定量含まれます。一方でクラスター デキストリンは、ブランチングエンザイムによる特異的な分解により、高分子かつ分子量分布が狭く、鎖長が長いデキストリンとなります。
3. 高い溶液安定性
クラスター デキストリンは高分子でありながら水によく溶け、また分子量の異なる各種デキストリンと比較して、その溶液は安定性がきわめて高いという性質を有しています。
さらに、10%クラスター デキストリンまたは10%デキストリン(DE2~5)水溶液をそれぞれpH1.5、3.0、13.0で調整し、100℃15分間で処理後にグルコース量を測定したところ、デキストリンと同程度の安定性が確認できました。
4. 甘味や粉臭さ(デンプン臭)がほとんどない
クラスター デキストリンは精製度が高く、低分子の呈味物質が少ないので甘味がほとんどなく、またデンプン様の物質も残留していないので粉臭さもほとんどありません。
5. ”らせん構造”による包接能
クラスター デキストリンは、構造の一部にらせん状の長い単位鎖(グルカン鎖)を有しています。このらせん構造は、内側が疎水性、外側が親水性の性質を持っており、このらせん構造内にゲスト物質が包接され、徐放や安定保持といった現象が起こることから、香りの長持ちや臭いの低減・成分の安定化など様々な効果を期待することができます。また、包接は可逆的な現象であり、温度や湿度、ゲスト物質の種類などの要因により変化します。
この包接能を活かし、味質・風味改良用途として食品用原料としても利用されています。
商品特徴
- 化粧品表示名称:マルトデキストリン
- INCI名称:Maltodextrin
- 中文INCI名称:麦芽糊精
- 医薬部外品成分表示名称:デキストリン
- 宗教対応:コーシャ/ハラル認証取得
- 由来原料:ワキシーコーンスターチ
- ワキシーコーンから得られる高度分岐環状デキストリン
- 高分子かつ分子量分布が狭く、鎖長が長い
- 水によく溶け、溶液安定性が高い
- らせん構造による包接能(包接・徐放・安定保持)
- 食品原料としても実績があり、安全安心な素材
※本品は、食品素材として販売しています。
商品機能
【 クラスター デキストリンの機能 】
● 包接作用
・ らせん構造にゲスト物質を包接することにより、臭いの低減(消臭)や刺激性の低減を実現する
● 徐放作用
・ らせん構造に包接したゲスト物質を徐放することにより、ゲスト物質である有効成分の持続性を向上する
● 安定保持作用
・ らせん構造にゲスト物質を包接することにより、不安定なゲスト物質を安定化する
● 粉末化基剤としての粉体流動性・保存安定性
・ 低分子のデキストリンをほとんど含まないため吸湿しにくく、溶解時にダマになりにくい
・ 高分子かつ分子量分布が狭いため被膜性が高い
・ 甘味や粉臭(デンプン臭)がほとんどないため、素材の風味を損なわない
【 検証データ 】
●包接作用
◆加齢臭原因物質の低減効果
クラスター デキストリンと、加齢臭の原因といわれる「ペラルゴン酸」または「ノネナール」を、それぞれ三角フラスコにて混合し、一定時間静置後、フラスコ中に気化したそれぞれの臭い物質の量をガスクロマトグラフィーで測定したところ、どちらにおいてもクラスター デキストリン添加区ではコントロールに比べて検出される物質の量が減少していることが確認されました。
この結果より、クラスター デキストリンの包接機能による加齢臭原因物質の低減効果が期待できます。
◆不快臭の低減効果
クラスター デキストリン溶液(0%、1.5%、4.5%)に、悪臭物質といわれる「トリメチルアミン」を等量ずつHSバイアルにて混合し、40℃で一定時間保温後、ガスクロマトグラフィーでトリメチルアミンの物質量を測定したところ、クラスター デキストリンの添加量に応じて、検出される物質の低減率が高いことが確認されました。
この結果より、クラスター デキストリンの包接機能による臭い原因物質の低減効果が期待できます。
●徐放作用
◆香気成分の徐放効果(水系)
水、および10%クラスター デキストリン溶液に対し、優雅なバラの香りを呈する「シトロネロール」を終濃度0.01%になるように添加し、40℃で一定時間保温後、ガスクロマトグラフィーでシトロネロール量を測定したところ、クラスター デキストリンは、水に比べて経時的な香りの強度の変化が少なく、シトロネロールを徐々に放出していることが示唆されました。
この結果より、水系の条件下において、クラスター デキストリンの徐放機能による香気成分の持続的な作用を期待することができます。
◆香気成分の徐放効果(エタノール系)
エタノールを溶媒とする市販の制汗シート液に、全体重量に対して1%重量のクラスター デキストリンを添加し、被験者の腕に塗布して香りの官能評価を行ったところ、塗布直後は、クラスター デキストリン添加区と未添加区で差はありませんでしたが、塗布2時間後においては、クラスター デキストリン添加区のほうが香りを強く感じるという評価が多く、香りを徐々に放出していることが示唆されました。
この結果より、エタノール系の条件下において、クラスター デキストリンの徐放機能による香気成分の持続的な作用を期待することができます。
◆香気成分の徐放効果(乳系)
クラスター デキストリン(0%、1%、5%)および、さわやかな桃の香りを呈するγ-ウンデカラクトンを0.5%配合したヘアミルクを人毛に塗布後、ドライヤーで乾燥し、常温下で一日経過後にガスクロマトグラフィーでγ-ウンデカラクトン量を測定したところ、クラスター デキストリンの濃度が高いほど、香りの強度の変化が少なく、香りを徐々に徐放していることが示唆されました。
また、一日経過後の人毛に水を添加すると、クラスター デキストリンの濃度が高いほど、香りの強度が強くなり、水分によって徐放機能が促進されることが確認されました。
この結果より、乳系の条件下において、クラスター デキストリンの徐放機能による香気成分の持続的な作用を期待することができます。
◆香気成分の徐放効果(粉末系)
クラスター デキストリンおよび一般的なデキストリン(DE18)250gに対し、0.5%シトロネロールを25ml添加し、1分間攪拌後、110℃で7.5時間乾燥させて粉末サンプルを作成しました。各粉末サンプルをガスクロマトグラフィーでシトロネロール量を測定したところ、どちらも香気を検出しませんでしたが、それぞれに水を添加後、同様に測定したところ、クラスター デキストリンを配合した粉末において、香りの強度が強くなり、水分によって徐放作用が促進されることが確認されました。
この結果より、粉末系の条件下において、クラスター デキストリンの包接機能よる香気成分の保持と徐放機能による持続的な作用を期待することができます。
●安定保持作用
◆香気成分の香り保持効果
香料成分である「リモネン」を多く含むレモンオイルを使用し、クラスター デキストリンまたはデキストリン(DE10)を用いて粉末化した試料を作成し、110℃で2時間保温後、香料の残存率を測定したところ、クラスター デキストリンはデキストリンを基剤に用いた場合に比べて香料の残存率が高いことが確認されました。
この結果より、クラスター デキストリンの包接機能による香気成分の保持が期待できます。
●粉末化基剤としての粉体流動性・保存安定性
柚子皮ペーストをデキストリンDE20およびクラスター デキストリンを用いて粉末化しました。15℃、70%RH、2時間の保存テストを実施した結果、デキストリンDE20の粉末品は顕著なブロッキングが発生していたにもかかわらず、クラスター デキストリンの粉末品はさらさらな状態を維持することが確認されました。
*柚子皮ペーストの事例は香川県の株式会社四国総合研究所で販売されている「柚子粉末S-02」となります。「柚子粉末S-02」は和・洋菓子や調味料等にご利用できます。「柚子粉末S-02」のお問い合わせは、株式会社四国総合研究所営業部(TEL.087-844-9208)へお願いします。
使用用途例
・化粧品用途
スキンケア化粧品、ヘアケア用品、香水、粉末シャンプー・石鹸、洗顔パウダー など
・日用品用途
消臭・芳香剤、入浴剤、ボディシート など
包接される物質例
クラスター デキストリンが包接するゲスト物質として確認している一例をご紹介します。
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