クラスター デキストリン®

クラスター デキストリン

クラスター デキストリンは、江崎グリコ(株)が世界で初めて開発に成功した高分子のデキストリン(高度分岐環状デキストリン)です。 クラスター デキストリンは、従来のデキストリンと比べて、冷水に良く溶ける、老化(※1)しにくいなどの特性を持ち、様々な用途にご利用いただけます。

※1 老化 糖業界で言う老化とは、デンプンに水を加えて加熱して糊化させたものが、時間とともに水に不溶性の状態に変化する事をいいます。モチや和菓子、パンなどが、製造後、時間の経過とともに固くなる現象はデンプンの老化によるものです。

構造および製造方法

クラスター デキストリンは、コーンスターチに、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造します。
ブランチングエンザイム(※1)は、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目に作用し、環状化を行いながら分解します。
そのためクラスター デキストリンは、デンプンの基本的な構造単位であるクラスター構造を、ほぼそのまま保持していると考えられます。

※1 ブランチングエンザイム ブランチングエンザイムは、動物、植物、微生物に広く分布する糖転移酵素です。生体内ではデンプンやグリコーゲンの枝分かれ構造を作る役割を持っています。

構造上の特徴

分子量分布が狭い
クラスター デキストリンは、他のデキストリンと比較して、狭い分子量分布を有します。
これは、「構造および製造方法」で示したようにブランチングエンザイムの高い特異性によると考えられます。
クラスター デキストリンは高分子でありながら、分子量の分布幅が狭く、老化(※1)しにくいという優れた性質を有しています。

鎖長が長い
クラスター デキストリンは、他のデキストリンと比較して、長いブドウ糖鎖を有しています。特にブドウ糖11個~17個からなる分子鎖が、他のデキストリンと比較して多いことが、鎖長分布分析からわかりました。これは、「構造および製造方法」で示したようにブランチングエンザイムが、クラスター構造の継ぎ目に作用し、デンプン分子の外側にはあまり作用しないためであると考えられます。 10個程度以上のブドウ糖からなる分子鎖は水溶液中でらせん構造をとりやすく、その内部空洞中に低分子物質を取り込みやすいことが知られています。この構造が、「用途」で述べる優れた味質改善効果のメカニズムと推定されます。

ブドウ糖鎖のらせん構造

特性

高い水溶性と溶液安定性
一般の高分子デキストリンの欠点の一つは、溶液の安定性が低いことです。 すなわち、最初は透明な溶液をつくることができますが、その溶液を低温で保存したり凍結融解を行うと、白く濁ったり固まったりします。
これに対して、クラスター デキストリンは、高分子デキストリンであるにもかかわらず、高い水溶性を有し、その溶液は非常に安定です。

甘味、粉臭がほとんどない
クラスター デキストリンは、低分子の呈味物質の混入が少なく、精製度も高いため、甘味や粉臭がほとんどありません。

甘味 粉臭
クラスター デキストリン - -
デキストリン
(DE 2~5)
- ++
デキストリン
(DE 9~13)
++ +++

消化性が高い
クラスター デキストリンは、体内の消化酵素により、一般のデンプンやデキストリンと同様に容易に消化されます。
環状構造部分もヒト唾液α-アミラーゼにより完全に分解させることが確認されています。

用途

1.エネルギー素材として
クラスター デキストリンは、唾液や膵臓中のα-アミラーゼで容易に消化され、優れた栄養源(エネルギー源)となります。
しかしながら、高分子であるため、運動時にはゆっくりと消化、吸収されるので、脂肪の分解を妨げるインスリンの過剰な分泌をもたらしません。
クラスター デキストリンの各種特徴を組み合わせることにより、さまざまなエネルギー食品の設計が可能となります。

● スポーツドリンク
エネルギーと水分を同時にかつ速やかに補給できる理想的なスポーツドリンクの設計には、摂取後、胃から小腸へ早く移送されるような適正浸透圧(150mOsm程度)が必要です。
クラスター デキストリンは高濃度水溶液でも浸透圧が低いため、最終製品を低浸透圧に設計することが容易です。
マウスを用いた実験の結果、クラスター デキストリンは持久力増強効果やグリコーゲン回復効果を有することもわかっています。 また、ヒト試験においても持久力増強効果が得られる事を確認しています。
クラスター デキストリンを用いることにより、様々な目的に適したスポーツドリンクの設計が可能です。

● その他のエネルギー食品

  • 朝食代替品としての高エネルギー食品
  • 嚥下困難者用食品
  • 運動後の速やかなエネルギー補給食品

2.粉末化基剤として

● 粉末油脂
クラスター デキストリンを賦形剤(※1)として利用すると、油脂を粉末化することができます。
油脂含量を高くできる、他のデキストリンを用いたものに比べて、ブロッキングしにくい、褐変しにくい、などの特長を持っています。

※1 賦形剤 錠剤・丸剤などの製剤過程や液体の粉末化において、一定の大きさや濃度にする目的で添加されるものです。乳糖やデンプンがよく使われています。

● 油脂の酸化安定性向上
クラスター デキストリンを賦形剤として用いた粉末油脂は、他のデキストリンを用いたものに比べて、大幅に酸化安定性を向上させることができます。
DHAやEPAなど、酸化に弱い機能性油脂を粉末化し、安定性を持たせることも可能です。

● 粉末香料
クラスター デキストリンは、粉末香料、粉末シーズニングなどにも効果的に利用できます。
クラスター デキストリンを賦形剤として用いた粉末香料は、他のデキストリンを用いたものに比べて、風味の持続性に優れています。

● 粉末食品(柚子皮ペーストの保存試験結果)
クラスター デキストリンは、油脂だけでなく水溶性の食品成分やエキスなどの粉末化基剤にもご利用いただけます。下の写真は、デキストリン(DE20)とクラスター デキストリンを賦形剤として柚子皮ペーストを粉末化したものを、室温15℃・湿度70%RHで保存した結果です。デキストリンに比べてクラスター デキストリンを用いた柚子粉末は、極めて吸湿性が低いことがわかります。
香川県の(株)四国総合研究所では、クラスター デキストリンを賦形剤に配合した、「柚子粉末S-02」を販売されています。和・洋菓子や調味料等にご利用いただけます。「柚子粉末S-02」のお問い合わせは、(株)四国総合研究所営業部(TEL.087-844-9208)へお願いします。

3.品質改良材として

● 食感・テクスチャーの改善
クラスター デキストリンは高分子の水溶性多糖であり、皮膜形成能に優れています。
この特性を利用すると、外側をクリスピーに、内側を柔らかく保ったから揚げやたこ焼きを製造できます。
また、クラスター デキストリンには米飯をほぐれやすくする効果があります。雑味・異臭がほとんどありませんので、本来の食品の品質を低下させません。
そのほか焼き菓子やせんべいの食感改良、和菓子の物性改良など、食感やテクスチャー改良に幅広くご利用いただけます。

4.味質改良剤として

クラスター デキストリンは、酢飲料や野菜汁飲料などに添加して酸味、苦味等をマイルドにする効果を発揮します。また、プリンやゼリーに添加して甘味をすっきりさせる効果、雑味を低減させる効果を持ちます。
たとえば、果汁飲料や乳飲料、ゼリーなどの飲食品の製造においてpHを低くすることで殺菌条件を緩和する場合があります。しかし、低pHによる強度の酸味は「酢かど」と言った言葉で表されるように、かどがあり、不快味として感じられる場合があります。クラスター デキストリンは、pHを変化させずに酸味・酢かどを抑え、まろやかにする効果があります。シクロデキストリンにも酸味緩和効果がありますが、シクロデキストリンは、酸味以外の風味まで抑えてしまう場合があります。クラスター デキストリンの適切な使用により、食品の持つ本来の風味を抑えることなく、酸味の緩和が可能です。
また、アルコールを含有する飲食品に添加した場合、アルコールの持つ高い静菌、殺菌効果等の優れた特性を抑えることなく、アルコール感を軽減し、マイルドな風味にする効果があります。

製品規格

クラスター デキストリンの製品規格

性状 白色粉末
水分 5.5%以下
灰分 0.05%以下
DE 5未満
一般生菌数 300個/g以下
大腸菌群 陰性
カビ 50個/g以下
酵母 50個/g以下

荷姿
10kg入り紙袋(外装:クラフト紙 内装:ポリエチレン)

表示例

  • デキストリン
  • 澱粉分解物

関連論文

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    H. Takii, Y. Takii(Nagao), T. Kometani, T. Nishimura, T. Nakae, T. Kuriki, T. Fushiki
    Int J Sports Med 2005;26: 314-319
  • A Sports Drink Based on Highly Branched Cyclic Dextrin Generates Few Gastrointestinal Disorders in Untrained Men during Bicycle Exercise
    Hiroshi Takii, Takashi Kometani, Takahisa Nishimura, Takashi Kuriki, Tohru Fushiki
    FOOD SCIENCE AND TECHNOLOGY RESEARCH, 10(4), 428-431, 2004
  • Evaluation of exercise performance with the intake of highly-branched cyclic dextrin in athletes
    Takahisa Shiraki, Takashi Kometani, Kayo Yoshitani, Hiroki Takata, Takeo Nomura
    FOOD SCIENCE AND TECHNOLOGY RESEARCH 2015 (in press)
  • Effects of ingesting highly branched cyclic dextrin during endurance exercise on rating of perceived exertion and blood components associated with energy metabolism
    T. Furuyashiki, H. Tanimoto, Y. Yokoyama, Y. Kitamura, T. Kuriki, Y. Shimomura
    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 2014;78:2117-9
  • Effect of a sports drink based on highly-branched cyclic dextrin on cytokine responses to exhaustive endurance exercise
    K. Suzuki, K. Shiraishi, K. Yoshitani, K. Sugama, T. Kometani
    J Sports MED PHYS FITNESS 2014;54: 622-30
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