井口 雄翔さんの2024年度第2回レポート

カートと井口 雄翔さん

Glicoは、プロのレーシングドライバーを目指してTAKUMA KIDS KART CHALLENGE(タクマ キッズカートチャレンジ)に参加する子どもたちのために、もっと支援できることがないかと考えました。プロのレーシングドライバーになるには、相当な厳しい道のりと狭き門をくぐり抜けなければなりません。Glicoは、佐藤 琢磨選手と検討を重ね、子どもたちの夢への第一歩をサポートするプログラムを2020年より始動しました。
2024年度は小野原 悠さん、濱邉 誠己さん、黄 海仁(ファン ヘイン)さんに加え、2023年TAKUMA KIDS KART CHALLENGE アカデミーで優勝した井口 雄翔さんの活動をサポートしています。
4選手それぞれが将来の夢に向かって挑戦する様子を、各選手からレポートをいただきましたのでご紹介いたします。

【井口雄翔さんの2024年度第2回レポート(6月~9月)】

・・・・・以下、レポート内容・・・・・

1. 9月末までを振り返って

最初に、この半年間レーシングカート活動を始めることが出来るようになったのは、スカラシップ生になれてサポートして頂けるようになったからだと言うのをあらためて感じ、感謝しております。有難うございます。
2024年2月からレーシングカート活動を本格的に、開始してチームの監督・チームのOBの方等練習に参加頂き、チームメンバーと月に1回から2回APG(オートパラダイス御殿場)を中心に練習しています。それ以外は、週に1回から2回チーム本拠地のサーキット(レンタルカートサーキット場)で、車両の操作技術、主に微妙なブレーキ操作や、アクセレーションの仕方等に意識を置いた基本的な技術を完全に身に着けるために練習しています。

毎週行っているレンタルカートを使って練習している車両の操作技術を、速度が速いレーシングカートの操作に徐々に生かせるようになって来ました。それにより当初APGでの、ラップタイムがバラバラで良い時と、悪い時のタイム差が0.8秒近くあったのが、現在は±0.3秒位迄に収まるようになって来ました。
そうなった事でAPGで参戦している同じカテゴリーの選手の中で、比較的上位で走れる選手の後ろに少しずつですが付いて行けるようになりました。最初は付いて行くどころか各コーナーで差が開き、すぐに背中が見えなくなり悔しい思いをしました。今年の目標の一つである、レーシングカートの操作技術の向上については、最初の階段は登れたかなと思います。

また、APGの練習や、レース前の公式練習で、監督や、チームOBの方の指示の下、車両のセッティング等を一緒にやっています。最初は、言われたことも出来ず、迷う事ばかりでしたが、必ず走る前にやらなければならない作業や確認する事、走行が終わった後にしなければならない作業・車両の清掃を覚えることから始めました。それから、エンジン・キャブレター・ギアの交換作業、ドライから雨に変更する時に、やらなければならない作業等は覚えてきましたが、まだ全て一人で作業は出来ません。また、監督がどういう考えで、ギアやキャブレターの調整をしているのか説明はしてもらっていますが、完全に理解出来ていません。路面状況や、僕の走り方に応じて様々セッティングして貰っていますが、もっと自分からも、走った状況や感覚を具体的に伝えるようになりたいです。その為には、車両の組立や交換作業を自分で行い、チェックを監督にしてもらえる様になれば、その先のセッティングを変えてみる意味や考えが分かるようになると思います。
自分として、今年一番大事にしている目標が、監督はじめセッティングしてくださるOBの方に、今の走りの状況・セッティングを変えた後の違いを具体的に伝えるようになりセッティングに役立てたいのですが、このような状態なのでまだまだ出来ていません。
この事が出来るようにならないと、今年参戦している、SL APG YAMAHA SSクラスで表彰台を目指したいという目標には届きません。サーキットでは、走る時だけでなく、作業時やセッティングしている時に、もっと集中してなぜそうするのかというのを覚えるだけでなく、経験として自分の中に取り込みたいです。そうする事で初めて表彰台も見えるし、どこのサーキットに行っても速く走れるようになると思います。

2.今後に向けて取り組みたいこと

今年は、主にAPG(オートパラダス御殿場)で練習やレース参戦をして来ましたが、今後は他のサーキットも走って経験を積みたいです。その為、8月2日間と9月に榛名モータースポーツスポーツランドで練習して来ました。今後も、監督と相談して、他のサーキットも走りたいですし、レースにも参戦したいです。
また、チームの監督と来年は、JUNIOR MAXで、レースに参戦するようにしようと方針を決めました。ただ、JUNIOR MAXは今乗っているKTよりも、速くて、体感するGも凄いと聞いています。現在も体感を鍛えるトレーニングは行っていますが、父親の友人のスポーツトレーナーに相談して、現在の体感+筋持久力もあがるトレーニング方法のメニュー作成をお願いして、体感力UPを行います。
そして、セッティングをしていくことに役立てるため、自分から率先して、走行時の車の状況や、自分がこうしたいという事を伝えて、監督任せではなくセッティングに自分も参加出来る様にしたいです。そのためには、今も行っている走行前の準備・走行中にセッティングを変える時に、監督の指示の下自分で作業すること、走行後の整理清掃を行うのは当然として、僕の伝える力(表現力)を上げるため、もっと表現力を高めたいです。
そのため、以前よりも両親やピアノの先生との会話を伝えたい事を一度自分の中で整理して伝える事を意識しています。また、父親からは、どんな本でもいいから読書をする事、普段の語学で調べる時にタブレット等で調べるのではなく、アナログで辞書を引くようにと言われて実践しています。そうすることで物事の伝え方や表現力も上がり、チーム内でのコミュニケーションを良くすることにもつながると思います。

3. 主な活動内容について

<活動内容①>
■レース大会名
 2024SL APGシリーズ第3戦・YAMAHA SS-class

■場 所
オートパラダイス御殿場

■日 程
2024年6月16日(日曜日)
天候 雨のち晴
タイムトライアル時点 雨 予選時点 曇(路面ハーフウエット)
プレファイナル・ファイナル晴(路面ドライ)

■結 果 
チーム スーパーチップス
出場18台 
タイムトライアル 17位/18台
予選結果      6位/18台
プレファイナル   6位/18台
ファイナル    16位/18台

■レースを振り返って
・良かった点
予選ヒートで路面がハーフウエットだったので、監督がドライタイヤで行く事を選択して、乾いている路面を走れと指示を受けてその通りに走れて、レインタイヤ勢を抜けて順位を上げました。
プレファイナルは、完全ドライになり、いい順位からスタート出来ました。前回のレースで失敗しかしなかったローリングスタートも、上手くスタートが出来るようになりました。結果レース中抜かれたり抜きかえしたりがありましたが順位を上げる事も、落とすこともなく、レースが出来ました。

・反省点
タイムトライアルで、ウエットの路面に対応出来ませんでした。以前の雨練習でAPGを走っているのに、その時の注意事項や、気を付ける事が慌ててしまい全く出来ませんでした。雨練習もしており、自分でもノートを付けているので、走る前に落ち着いて対応出来るようにしたいです。
決勝スタート時点で僕は、アウトスタートだったのですが、インに入るのに拘り過ぎてインに入れず順位を一気に下げてしまいました。その遅れも取り戻せず、順位を大幅に下げてしまいました。スタート時点で、僕の視線が近くしか見ていないので、もっと目線を上げて加速し自分が少しでも前に行く事に集中するようにします。

APG第3戦タイムトライアルの様子

APG第3戦タイムトライアルの様子

〈活動内容②〉
■レース大会名
 2024SL APGシリーズ第4戦・YAMAHA SS-class

■場 所
オートパラダイス御殿場

■日 程
2024年8月11日(日曜日)
天候 晴

■結 果
チーム スーパーチップス
タイムトライアル 13位/15台
予選結果     12位/15台
プレファイナル  11位/15台
ファイナル    13位/15台

■レースを振り返って
・良かった点
良かった点は、レースの中ではあまりありません。強いて言えばタイムトライアルの順位を予選ヒート・プレファイナル迄ワンポジションずつ上げた事と、前日の公式練習でセッティングが上手く行き、今まで付いて行けなかった上位の選手にも、付いて行けるようになり、平均ラップタイムも今までより0.3秒位良くなった事です。

・反省点
タイムトライアルで、新品のタイヤに合わせることに時間がかかり、タイムが伸びない事に焦り始めてしまい、コーナーにオーバースピードで突っ込み結果、ステアリングを切りすぎタイムが全く伸びないという結果になってしまいました。
前日とは、気温や路面・走行時間も違うし、何よりタイヤが新品になっていたことも焦りのため頭から抜けていました。今後は、落ち着いて走る前に現状を整理して、走りながらでもなぜタイムが伸びないとか、焦らず考えられるように、冷静に努めたいです。普段の生活の中でも、出来るだけ自分の事を冷静に見るように普段から努力したいです。
決勝のレースでイン側からのスタートで、少しでも前に行こうと思い、第1コーナーに飛び込みました。その時に2台は抜けたのですが、僕の後ろから来た車両が、アウトから入ってきていた事に気が付かず、僕がエッジインをしてしまい、接触してしまいました。怪我はお互い無かったのですが、結果お互いのレースを壊してしまいました。自分がスタートで2台抜けたので、視界が狭くなり、自分が前に出る事ばかりに意識が行き、レース全体の状況を知ろうとする努力が欠けてしまいました。
とにかく今回のレースでは、一貫して、レース中冷静に自分の今の状況をとらえて走れないと結果も出ない所か、他の選手にも迷惑をかけるという事が身に染みて思いました。

練習走行4コーナーに向けて

練習走行4コーナーに向けて

〈活動内容③〉
■レース大会名
榛名練習走行合宿
KSA GAME HARUNA ROUND3

■場 所
榛名モータースポーツランド

■日 程
合宿 2024年8月13日~14日
KSA GAME HARUNA ROUND  2024年9月8日

■結 果
チーム名 スーパーチップス
・合宿時
1.榛名の基本的な走行ラインの復習
2.セッティングをAPGから榛名モータ―スポーツランド用へギア等変更
3.走行ラインを確認しながら、タイムアタック及び走り込み
・KSA GAME時
※KSA GAMEとは、各カートショップが協賛して主催しているカートイベントで、各クラスの模擬レースも行われる。
Bクラス(中級者クラスでKT・MAXノービス・MINI MAX・REED JET)で参加。
結果 タイムトライアル    9位/12台中
 模擬レース(5周×3) 5位/12台中

■レースを振り返って
・良かった点(できた点)
榛名モータースポーツランドを、SSのサイズで走るのは初めてだったので最初は戸惑いましたが、カデットで走ったラインを思い出しながら、走りだし、APGで練習してきたアクセル・ブレーキの足の使い方を意識した車両の向きの替え方に注意して走れました。その結果APGで練習している事が他のコースでも応用できる事が体感出来ました。
 また、KSA GAMEでは、色々なエンジンが混走のレースなので、ストレートでは抜かれる事がありましたが、コーナーでは追いつけて抜くことも出来ました。それは、パワーが違う車両に、抜かれるので、変に粘らずに抜かれてすぐ後ろに付いたので、タイムロスも少なく、次のコーナーで勝負できたからです。今までAPGでは、抜かれる時に粘って、結果自分が遅れてしまっていたので、そこに気が付けた事は大収穫でした。
もう一つ榛名のKSA GAMEには、現在、榛名のYAMAHA SSクラスシリーズのポイントリーダーで、去年のAPG YAMAHA SSクラスのチャンピオンも参加していて、KSA GAMEの決勝レースで、離されず後に付いて行けた事も自信になりました。

・反省点
APGから、榛名モータースポーツランド様にセッティングを変えました。
その作業自体は監督と一緒に出来たのですが、セッティングをしていく時の根拠や考えをもっとよく聞くべきでした。明らかにセッティングが変わり、走りが変わった事は伝えたのですが、なぜそうなったのかと言う質問を後回しにして、走行練習を終始してしまいました。これからは、疑問・質問することも、練習だと思うようにします。

榛名合宿4コーナーの立ち上がりに向かって

榛名合宿4コーナーの立ち上がりに向かって

【過去レポート】
・2024年第1回