ファン へインさんの2023年度第3回レポート

ファンへインさんとカートがうつる画像

Glicoは、プロのレーシングドライバーを目指してTAKUMA KIDS KART CHALLENGE(タクマ キッズカートチャレンジ)に参加する子どもたちのために、もっと支援できることがないかと考えました。プロのレーシングドライバーになるには、相当な厳しい道のりと狭き門をくぐり抜けなければなりません。Glicoは、佐藤 琢磨選手と検討を重ね、子どもたちの夢への第一歩をサポートするプログラムを2020年より始動しました。
2023年度は小野原 悠さん、濱邉 誠己さんに加え、2022年TAKUMA KIDS KART CHALLENGE アカデミーで優勝した黄 海仁(ファン ヘイン)さんの活動をサポートしています。
3選手それぞれが将来の夢に向かって挑戦する様子を、各選手からレポートをいただきましたのでご紹介いたします。

【ファン ヘインさんの2023年度第3回レポート】
・・・・・以下、レポート内容・・・・・

TAKUMA KIDS KART CHALLENGE2023

11月26日、モビリティーリゾートもてぎでTAKUMA KIDS KART CHALLENGE Final
12月26日は新東京サーキットでTAKUMA KIDS KART CHALLENGE Academyが
開催されました。

2021年に僕もこの大会に出て、Final1位を取るために努力してきました。
今でもトロフィーを眺めて、あの日のことを思い出すことがあります。
それくらい僕の人生の中で何にも変えられない貴重な経験になりました。
毎年、TAKUMA KIDS KART CHALLENGEに参加した選手は同じような経験を持ち帰って、夢を持ち努力しながら成長しているんだと思います。
今回の大会には高校生になったOB選手も会場に遊びに来ていて、この大会の歴史を感じました。

昨年の最後に、TAKUMA KIDS KART CHALLENGEに出場する選手のサポート役として前日から参加させてもらいました。
カートに乗る側ではなく、カートに乗る選手をサポートする貴重な経験となりました。

TAKUMA KIDS KART CHALLENGE FINAL大会

この日は全国1500人の中から選ばれた100人が集まり、上位8名が進出できる
アカデミー出場を目指して戦います。

関係者と打合せをするファンへインさん

早朝、寒い気温の中、まだ選手が来ていない時間から運営の方たちはテントを設営したり、マイクテストをしたりして大会の準備を始めていました。
僕はカートのチェックをしたり、試合中に使う備品の整理をする役を任されました。
茂木の朝は風も強く想像以上に寒かったのですが、大会スケジュール時間に間に合うように運営の全員で協力しながら作業を進めていたら、寒さも吹き飛び、汗が出るほどでした。
去年までは、準備してもらったカートにただ乗れば良かったので、運営の方たちのお仕事のことを考えたことがありませんでした。
こうやって僕達の為に頑張ってくれる人がいるから、この大会が10年も続いているんだと、大会前から考えさせられました。

選手がホームに戻ってきたら、カートの状態を確認したり、次の選手のウェイトの準備をしたり、アドバイスを求められれば答えるようにしました。
一日中場内で休む暇もなく動き続けました。
決勝までの全ての試合の中で、思うようなタイムが出せず落ち込む子や、悔し涙が止まらない子もたくさんいました。
今日この日の経験がきっと「もっと頑張ろう」と思える力になることを僕は知っているので、また来年もサポート役としてこの場に来たいと思いました。

素晴らしい大会の中でひとつだけ、僕がとても残念に思ったことがありました。
カートの状態が悪くなった時に、きついクレームが入ることがありました。
その度に、メカニックさんが必死に調整をしていました。
メカニックさんは「ありがとう」と直接言われることもないけれど、ひたすらカートの状態をイコールコンディションにしようとしてくださっていました。

関係者と打合せをするファンへインさん

レンタルカートに乗っている僕達は好きなように乗って、快適で安全にカートを楽しむことを当たり前に思ってしまっているのかなと思いました。
昨年レーシングカートにステップアップした時に感じたことですが、レーシングカートに進むと、カートの調子が悪いとか、エンジンの調子が悪いからって文句を言う子があまりいません。
それよりも逆に「それを乗りこなせないお前がだめだ」と言われてしまいます。

カートの調子が悪くなったら何かのせい、誰かのせいにすることに慣れてしまうと、その状況になった時に「だったらどうしようか」と切り替えることをしなくなったり、どうせ・・って気持ちで諦めることに慣れてしまうと思います。
これは少し前まで僕にもたまに出てくる悪い癖だったなと思います。

状況が変わらなければ、今の状態でベストを尽くすことを考えるようにすればいい。
この1年でその気持に切り替えれるようになったのは、僕がレーシングカートでメカニックさんの姿を見てきたからだと思います。そのことを大会中に思い出しました。

みんな1位になりたい!それは大事なことだけれども、この大会が感謝の気持ちでいっぱいになること、素晴らしい経験ができてることにも気付いてもらえたらいいなと思いました。

TAKUMA KIDS KART CHALLENGE 2023 Academy

上位8名が新東京サーキットに集結しました。
1年に一度しかないこの試合にかけている想いが選手全員から伝わりました。

僕はレーシングカートのテストドライブを任されたので、新東京サーキットを何十周も走行しました。
操縦席に乗ったらすぐに結果を出す、僕に求められていることが昨年までと違う気がして少し緊張しました。

カートで他の選手と競い合うファンへインさん

またAcademyの座学の途中で、僕達OBが選手8人の前でアドバイスをする機会があったのですが、僕は突然緊張してしまい思うように話せませんでした。
後になって、濱邉誠己君が僕にアドバイスをしてくれました。
「みんな歴代優勝者のアドバイスが聞きたいと思ってるんだから、僕達は自信を持ってアドバイスをしたらいいんだよ」
その言葉にハッとしました。
3年前、誠己君が全国一位の優勝トロフィーを僕に持たせてくれたことがあります。
その時、誠己君は僕にとって遠い存在でした。
あれから僕はTAKUMA KIDS KART CHALLENGEで優勝して、誠己君と同じOBとして活動して、今日みたいにアドバイスをもらい、また新しい気付きや刺激をもらいました。
こうやって次に繋いでいくんだなって感じました。

他の選手とトロフィーを持って写真にうつるファンへインさん

国内のレーシングカート場に行くと「僕もタクマチャレンジに出たよ」と声をかけてくれるお兄さんがいます。
みんなTAKUMA KIDS KART CHALLENGEでの経験を大切にして夢を追いかけている選手がたくさんいます。
この先もTAKUMA KIDS KART CHALLENGE出身だよって自慢する選手ばかりになるように、これからも、もっと多くの人に憧れられる大会になるように、来年はもっと積極的にOBとして活動したいと思いました。

関係者と打合せをするファンへインさん

関係者と打合せをするファンへインさん

この1年を振り返って

レーシングカートにステップアップして、今までと違う環境にどう対応すればいいか迷ってばかりでした。
一からのスタートに戸惑い、レースの結果は良い結果ではなかったと思います。
また小学校最後の年なので、勉強もとても大事な時期であることをグリコさんは優しく理解してくださり、僕の活動を応援してくださいました。

僕は応援して頂いたことで、色々な考え方を持つようになりました。
今までは、自分に足りないことを誰かに指摘されるまで気が付けなかったし、変わろうと意識したことがありませんでした。
でも今年、自分以外の誰かが僕の活動を応援して見ている、そう思うと今よりももっと、少しずつでも自分を変えていこうと意識することができるようになりました。

スカラーシップ生になったこともあり、これからの自分の人生はしっかり自分の意志で決めようと思い、自分が行きたいと思える中学校も自分で決めました。
僕はスカラーシップ生になれていなかったら、もしかしたらここまで変われなかったかもしれないです。
だから僕は、自分の成長がとても嬉しいです。

大会終了後、グリコさんから大量のお菓子をもらいました。
いつも僕の妹やおばあちゃんがとても喜んで食べています。
僕はお菓子を通じて、自分の周りの人が喜んでいることがすごく嬉しいことなんだと感じるようになりました。

今年も色々な経験をして、去年の自分を超えて活躍したいと思います。
そして良い報告ができるように頑張ります!

カートを運転しているファンへインさん