“TAKUMA KIDS KART CHALLENGE”からさらなる高みを目指す選手をサポート-第2回レポート-

“TAKUMA KIDS KART CHALLENGE”からさらなる高みを目指す選手をサポート-第2回レポート-

Glicoは、レーシングドライバー・佐藤琢磨選手が中心となり、東日本大震災の復興を応援すべく2011年にスタートした復興地応援プロジェクト“With you Japan”とともに、「モータースポーツの楽しさを通じて、復興地を応援しよう!」と全国の小学生がカートを通じてふれ合うことを目的とした “TAKUMA KIDS KART CHALLENGE”を2014年より毎年サポートしています。
その参加者の中には、プロのレーシングドライバーを夢見る子どもたちも多く、Glicoとしてさらなる成長支援ができないかと考えました。プロのレーシングドライバーを目指すには、相当な厳しい道のりと狭き門をくぐり抜けなければならず、佐藤琢磨選手と検討を重ねた結果、プロのレーシングドライバーを目指す第一歩のサポートができるプログラムを始動。その第一弾として今年は、瀧口純輝(たきぐち じゅんき)さんの活動をサポートすることとなりました。
瀧口純輝さんは、TAKUMA KIDS KART CHALLENGEに過去3回参加し、2018年には優勝するなど優秀な成績を収めています。佐藤琢磨選手が校長を務める鈴鹿サーキットレーシングスクール(以下、SRS)の2020年度入校試験をクリア。SRSのカートプログラムに参加することとなり、その活動をGlicoがサポートしています。

このたび、瀧口純輝さんより、最近の活動に関するレポートをいただきましたので、ご紹介させていただきます。

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初めてづくしだった鈴鹿選手権!!

鈴鹿選手権第5戦に参戦しました!!新型コロナウイルスの影響で中止になるのではないかと心配していましたが、無事予定通り開催されました。
僕は初めてのレーシングカートのデビュー戦、しかもJAFの公式レースで、ものすごく緊張しました。メカニックは、タクマキッズカートチャレンジでもお世話になった、WISE Karting teamの佐久間さんにサポートして頂きました。タイヤはMOJO D2というハイグリップタイヤを使用しました。フレームはトニーカートを使用し、そのカウルなどにサポートをしてくれているGlicoのステッカーを貼ってもらい、身の引き締まる思いでした。
僕はレース2日前から鈴鹿の国際南コースに来ていたのですが、そこでびっくり!何と会場にはもの凄い数のチームテントがならんでいました!車で会場に入ったのですが、見たことのないような光景で興奮しました。そこで自分のピットを発見!!そこには僕が乗るカートを組み立てて下さっている佐久間さんがいらっしゃったので挨拶に行き、そこで佐久間さんと色々お話しし、コミュニケーションを取って行きました。そして佐久間さんから色々と教えて頂きました。まずは座学から、危険の伴うスポーツなので安全性をしっかりと、そしてレーシングカートの操作を再度基本から教えて頂きました。午後は、他の選手達の練習走行を見に行きました。サーキット脇の丘の上から全体的に、1〜2コーナーは間近で佐久間さんに教えて貰いながら見ていました。やはり鈴鹿選手権ともなると速いドライバーの集まりなので自分との違いがはっきりと分かりました。それに佐久間さんに教えて頂いて練習を見ていたのでそれ以上の発見が出来ました。コースのレクチャーを頂いて直ぐに、待ちに待ったオーダーレーシングスーツが会場に届きました!初めて対面となったカッコいいスーツを見て「よし!今回のレース、自分の全力を出し切ってがんばるぞ!!」という決意を胸に1日目は終了しました。

レーシングカートのフィーリングを確かめる瀧口さん

レーシングカートのフィーリングを確かめる瀧口さん(左)とマシンセッティングや基本操作など丁寧にサポートしてくださる佐久間さん(右)

前日練習

僕はSRS以外で、鈴鹿国際南コースを練習したことはありませんでした。会場の空気と熱気から、いつにもまして緊張しました。走行前には、昨日佐久間さんに教えて頂いたことをしっかり頭に叩き込んで備えました。そして集中し練習走行に向かいました。練習走行は1日15分4本。僕は毎セッション、タイヤに熱を入れ、フィーリングに変化を感じるとピットインして、タイヤの空気圧を測りに行くので、約14周をこなしました。1本目はかなり酷く、ブレーキが強すぎるのに加えてそこでステアリングを切っているので、リアタイヤが滑りすぎてしまいタイムが出せずに終わってしまいました。そこで車載動画やデータロガーなどを見て研究して佐久間さんや父にアドバイスを頂いて、2本目に挑みました。
2本目では少しだけ良くなりましたが、ブレーキは弱くて良いのですが弱すぎて長いブレーキングとなってしまっていたので、タイムもガタ落ちしてしまいました。そのため佐久間さんと父に、2本目の動画を見せてもらってしっかりと研究し、アドバイスを頂いて今度こそ走りを変えてタイムアップさせようと試みました。

車載動画から自身の走りを確認する瀧口さん

車載動画から自身の走りを確認する瀧口さん

3本目では少しブレーキが短くなりロガーを見てもボトム速度が2回目の走行より、かなり上がってタイムも上がりましたが、僕はコーナーの出口でアウトに行ってしまい、次のコーナーへの進入が苦しくなって、その二つ目のコーナーの出口で他のドライバーに確実に離されていることが目立ったので、4本目で修正しようと思いました。
練習走行最後の4本目ではMOJOの新品タイヤを入れて走行しました。そこまではユーズドタイヤでのプラクティクスだったので、これまでよりもグリップがやはり凄くてブレーキも短くなり、速度も上げていけるので、もちろんタイムは上がりました。しかしリアタイヤが新品になっても横に使いすぎてグリップが強い分抵抗が増すので、減速の方向に強く、そして悩まされ立ち上がりが遅くなってしまいました。そのためマシンを失速させ、ボトム速度を落としてしまっていたこと、明日の本番に修正して行くこと、他にもたくさんの課題がある中、明日のレースに挑む事になりました。

プラクティスに挑む瀧口さん

プラクティスに挑む瀧口さん

「タイムトライアル」 気温34度、順位27位中27位

初めての公式レースの予選……10分の間で初めの5分が練習走行、その後の5分から計測開始というレンタルでは経験したことの無いタイムトライアルでした。順位は最下位でした。もの凄い悔しく、ショックでなりませんでした。しかし何が悪かったのか自分のロガーを研究し、予選で絶対に前に出てやる!という気持ちが湧いてきました。

タイムトライアルを終えた瀧口さん(右)とマシンセッティングに向かう佐久間さん(左)

タイムトライアルを終えた瀧口さん(右)とマシンセッティングに向かう佐久間さん(左)

「予選ヒート」 気温37度、順位27位中26位

スタート直後に『前に出てやる!』という意識が強すぎてしまい、スタート直後の第一コーナーで、前方車両らのクラッシュの群れに乗り上げてしまい順位を落としました。もっとあのスチエーションでは落ち着いて少し引くべきだと分かったので、次の決勝では気を付けて走りたいと思いました。そしてここに来てだいぶ苦手コーナーが良くなって来ました。しかしまだミスが多く、それがかなり目立ってしまいました。
ですが、レース用の新しいタイヤをはいた事や、自分の劣っている場所を速くしていきながら相手のあるレースを行っているので、今までにないプレッシャーと修正箇所の難易度の高さからミスが続いてしまい、ポジションアップさせていくことが出来ませんでした。次の決勝では、冷静に引いた視線を持ち、攻める気持ちと安全を確保しながら走り、また課題を絞り、レース中どんな状況になっても集中力を最後まで切らさないように、何が何でも次に繋がる手ごたえを持ち帰る様に戦おうと心に決めました。

予選ヒートの様子

予選ヒートの様子

「決勝」 気温39度、順位27位中22位 *最終リザルト

予選やこれまでの反省点を活かす様にレース序盤は、周りの動きを把握しながら落ち着いてポジション取りをして行くことを意識しました。スタートが決まり、理想のポジションやラインに乗せられたので、順位も17番手まで上げたのですが、途中から前のドライバーに引っかかり、まだまだスピード感覚と距離感に自信が無いため、オーバーテイクできるチャンスを数回逃し、ミスが出て後続のマシンに一台、また一台と逆にオーバーテイクを許す結果となってしまいました。このレースウィーク2日間の中で1番良い走りを出来たのですが、やはりミスが多くタイムを安定して刻んで行けませんでした。もっとミスを減らして相手の速さについて行き、スピード感覚と距離感もしっかりと身に付けてどんどんチャンスをモノにしていけるように、今回ハッキリと指摘してもらった僕の悪い部分と、新しい沢山の経験をさせてもらったお陰で出来た課題をこなしながら、レース感を養って行きたいと思います!

決勝の様子(瀧口さんは写真最前列の左)

決勝の様子(瀧口さんは写真最前列の左)

最後になりましたが、メカニックや安全と新しく多くのレーシングに関して教えて下さった佐久間さん、取材撮影からメンタルアドバイザーとしてもお力添え下さった飯澤さん、体調管理や修正アドバイスをくれた両親、サポートしてくれているGlico、応援してくださる皆様に本当に感謝しています。初めての大舞台での経験から、今回学ばせて頂いた事を忘れず、明確となった新しい課題を必ず克服して、次回の鈴鹿選手権では上位目指して頑張ります。たくさんの皆様のお陰でまた一歩、二歩と大きく進んで行くことができます。本当にありがとうございました!!これからさらに意識を高く持って頑張っていきますので、これかも応援をよろしくお願い致します!

佐久間さん(左)と瀧口さん(中央)、瀧口さんのお父様(右)

佐久間さん(左)と瀧口さん(中央)、瀧口さんのお父様(右)

そして、このレポートを書いている途中に、アメリカのインディアナポリスで行われていた『インディ500』で、僕の憧れの佐藤琢磨先生が、2度目のインディ500制覇という大偉業を成し遂げられたニュースが入ってまいりました。僕も鈴鹿選手権では、憧れの琢磨先生と同じゼッケン番号30番で走らせて頂きました。琢磨先生のレースは手に汗握り、最後まで目が離すことが出来ませんでした。冷静沈着な走りを琢磨先生はSRSで学んでいる僕達に見せてくださいました。本当に感動いたしました。僕も琢磨先生の様に、何があっても最後まで諦めない、自分の限界を決めない、冷静沈着で自分のイメージしたレースが出来るように頑張りたいと思います。
瀧口純輝

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