人的資本
人事に関する基本的方針
Glicoグループは、企業発展の源泉となる最大の資本は「人」であり、個々人の能力開発・育成を図り、意欲にあふれる人財が束となって変革を推し進めること、またそうした変革を推進する人財が次々と育つ企業風土を醸成することが重要であると考えています。さらに、多種多様な社会課題の解決のために、ダイバーシティ&インクルージョンにも真摯に取り組み、様々な個性を持つ従業員一人ひとりが、適切な配置や機会の提供を受けることで自身の能力や経験を生かして活躍できると考えています。こうした考え方に基づいて、社会から支持、信頼、尊敬される企業であることを通じ、Glicoグループの持続的な発展と従業員の幸福の実現を目指しています。
取り組みの全体像
Glicoグループが目指すのは、創業時から変わることなく、「食品による国民の体位向上」であり「事業を通じて社会に貢献すること」です。おいしさや健康に対する価値観と期待水準が変化するなか、Glicoグループが発展していくためには全従業員が一つになって社会課題と向き合い、お客様起点の価値を創造し続けなければなりません。
Glicoグループでは、長期経営構想の制定に際して経営理念体系を見直し、存在意義(パーパス)「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を最上位に位置付けるとともに、ありたい会社の姿(ビジョン)として「Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより『おいしさと健康』を価値として提供し続けます」と定めました。
Glicoグループ 人的資本に関する取り組みの全体像
これらパーパスやビジョンを実現し、Glicoグループが持続的に成長するために重点項目「9クリティカルズ」を定義し、全ての部門ミッションと連動させて、全社を挙げて取り組んでいます。
さらにこの9クリティカルズに基づいた各部門のミッションの達成のために、組織のあるべき姿を「顧客起点で価値を共創するイノベーターズ」と定めました。ここで示す「イノベーター」とは、「内発的動機を力に前例にとらわれず、成果に向けてチャレンジする人財」と定義しました。また、あるべき人財像としては、Glicoグループにおける不変の行動指針である「七訓」を基盤としつつ、「オーナーシップマインド」、「顧客志向」、「グロースマインドセット」、「変化対応力」、「グローバルマインドセット」の5つの要素を兼ね備えた人財と定めました。
人的資本ストーリー
現行の中期経営計画では、2025年から2027年を長期経営構想の実現に向けた加速のフェーズとし、人的資本に対する取り組みを主要戦略の一つと位置付けました。Glicoグループは、この人財戦略を事業戦略、研究戦略と連動させることで長期経営構想を実現し、その先に見据えるグローバル10億人のウェルビーイングへの貢献を目指します。そのための取り組みとして、かねてより注力してきた能力開発・育成への取り組みに加え、従業員一人ひとりの「内発的動機」を原動力として、その力を成果へと結び付ける仕組みの構築に取り組みます。具体的には、担当業務の内容や目標、学びの内容を自律的に選択できる機会を拡充します。また、チャレンジ行動や成功体験を増やすことで自己効力感を高めます。さらに、部門間の協力関係や個々の強みを生かし合うインクルーシブアクションの強化に繋がる施策を進める計画です。 また、長期経営構想を実現するための必要人財やケイパビリティの定義設定、採用・育成・配置等に関する人財計画の策定を進めます。さらに、これらの施策の実行力を高めるために、組織マネジメント力の強化や人事組織の体制の見直しを進めてまいります。 Glicoグループは、パーパスに共感・共鳴した従業員が、その「内発的動機」をもとに個々の強みを生かし合いながら期待される行動を体現し、これを組織の力として転換することで新たな価値の創造・創出や生産性の向上に結びつけることが、Glicoグループの今後の成長の大きな鍵になると考えております。
人財育成方針、社内環境整備方針
組織・人財のあるべき姿を目指す上で必要な5つの要素は、「オーナーシップマインド」、「顧客志向」、「グロースマインドセット」、「変化対応力」、「グローバルマインドセット」です。これらの能力開発のための人財開発への投資を行うとともに、能力を十分に発揮できるような社内環境整備への投資を実行し、課題に沿った各種アクションを実行、加速していきます。
◆オーナーシップマインド:従業員全員が創業者マインドを持ち、自立して行動する
Glicoグループのパーパス実現のために、全ての従業員が、「創業者マインド」をもち、それぞれの「内発的動機」をもとにお客様の「すこやかな毎日、ゆたかな人生」に貢献することを追求していきます。全ての従業員が主体的に新しい挑戦に取り組めるよう、以下の取り組みを進めております。
次世代イノベーター育成研修
起業家マインドとグローバルに通じるイノベーション創出力を目的に2019年より開始しています。今後もこうした起業家精神を育む機会を強化していきます。
選抜リーダーシップ研修
3つの層からメンバーを選抜して実施しています。
ⅰ.CLC(Change Leader’s Camp)研修:2014年に部門長及び部門長候補を対象に経営リテラシーやリーダーシップの獲得を主目的として開始しました。4年目以降はACLC(Advanced Change Leader’s Camp)研修を実施しています。
ⅱ.LDC(Leadership Development Camp)研修:係長クラスから経営職を目指すメンバーを対象にした研修を実施しています。
ⅲ.LLC(Leadership Learning Camp)研修:主任クラスから係長クラスを目指すメンバーを対象とした研修を実施しています。
社内公募制度
従業員個々の自律的キャリア形成の促進とキャリアニーズにこたえることを目的に2010年より導入しています。
JICA民間連携ボランティア制度への派遣
国際感覚を備えた人財の育成と同時に、異なる文化や環境の中で自ら課題を設定し、一年という限られた期間の中で持続性のある解決策を仕組み化して生み出す体験として、2016年以降、独立行政法人 国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)の民間連携ボランティア制度を活用し、社内公募による海外への従業員派遣を実施しています。
社内提案制度 ―Smile Box
従業員なら誰でも業務改善につながるアイデアを直接会社に提案できる制度『Smile Box』を2016年より導入しています。提案されたアイデアは社長、役員、関係部門によって検討され、従業員に返答される仕組みになっています。
◆顧客志向:従業員全員が常に顧客起点の発想と、新たな価値を創造・実現できるスキルを持つ
現状の製品(モノ)起点の価値フローから、「お客様起点のバリューチェーン」に切り替えるにあたり、顧客起点の思考は一層重要度を増しており、以下の取り組みを実施しております。
デザイン思考ワークショップ
顧客視点での課題設定力、問題解決力の向上を目的に2019年より実施しています。
デジタルスキル学習
デジタルリテラシーの強化、デジタルを活用した新たな価値創出や業務変革等における職務遂行能力の獲得・向上を目的に2022年から全従業員を対象に順次開始しています。
◆グロースマインドセット:従業員全員が協同一致で「One Glico」を実践するマインドを持つ
個人及び組織で求められるアウトプットに対するコミットメントのレベルや、主体的に学ぶ意識を高めることで「個」を超えた価値を提供することを伸びしろと捉え、従業員全員がパーパス、ビジョンを理解・共鳴した上で、学び続け、グループ全体が一丸となり結果を出し切れる組織文化を目指して取り組みを進めております。
役割等級制度
管理職は2018年から、一般従業員は2022年から、従来の職能資格制度を廃止し、役割の大きさを基準に等級を設定する役割等級制度へ移行しました。
自律的な能力開発とキャリア形成
各等級あるいは営業や商品開発などの職種別に求められるスキル、知識を定義しました。各等級に求められるスキル、知識を従業員に明示することで、上司の支援のもと、従業員一人ひとりが主体的かつ計画的に自身の能力開発に取り組むと同時に、キャリア申告を通じて、自身のキャリア意向や経験・スキルについて定期的に棚卸し、自律的なキャリアの実現を促進しております。
キャリア採用
経営戦略上必要な、専門性、経験、知見、チームで課題を解決する能力等の強化施策として外部からの人財獲得を推進しています。 新卒採用で優秀なポテンシャル人財を採用すると共に、多様なスキルや価値観を持つキャリア採用を積極的に行うことで、新たな視点を取り入れた商品開発やマーケティング、営業、生産活動を推進してまいります。
◆変化対応力:市場や環境の変化に常にアンテナを張り、現場、現物、現実を正確に把握しながら迅速に対応を図る
企業が成長するためには、社会の動向を見定め素早く動く「俊敏な組織」でなければなりません。従業員一人ひとりが、日常生活の中でニーズの変化や技術の動向を敏感に察知し、ビジネスチャンスに変えてアウトプットを生み出す判断力を鍛えます。Glicoグループ全体での俊敏性と判断力を高めるために、データドリブンな意思決定ができる環境整備や組織体制を整えていきます。
各部門目標への設定
各部門の目標に社会環境の変化や最新の技術トレンドを獲得するための観点を加えることで、会社全体の変化対応力の向上を図ります
能力開発
個々の能力開発機会として、戦略策定のトレーニングや実践の機会を設けています。
◆グローバルマインドセット:従業員全員がグローバル目線で事業構想を考えることができ、また異なる意見や価値観を異質とせず受容することができる
意思決定の質を高めるためには、異文化理解の素養を高め、日常的な意思決定のプロセスにおいて当事者をインクルーシブすることが必要不可欠です。人財獲得への努力と同時に多様な人財の育成や活躍しやすい環境整備を推進しております。
海外での新卒採用
異文化理解の素養が高く、インクルージョンを力にすることができるリーダーに育成するために、当社では2007年より日本国外での採用活動を開始し、日本国外で開催される採用イベントや、キャンパスリクルーティングへ参加しています。
グローバルブランドマネジメント体制の導入
長期経営構想、中期経営計画に基づいたグローバルブランドの成長戦略・方針を策定し、その実行をリードする専門組織を設置いたしました。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進
D&Iへの取り組みはイノベーションを創出するとともに、組織運営においても意思決定のレベルを引き上げ、組織マネジメント力を向上させるものと捉えています。国籍や性別、キャリア、障がいの有無などに関わらず、多様な人財が適材適所で一体となって目標に向かっていける環境づくりが非常に重要であると考え、さまざまな取り組みを実施しています。
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人財育成投資
人財育成への投資を積極的に進めており、当社及び国内連結子会社における2024年の研修費用総額は、173百万円、一人あたり49千円となりました。
健康経営
Glicoグループが持続的に成長・発展し、事業を通して社会に貢献し続けるためには、Glicoグループで働く従業員自身が、心身ともに健康であり、働きがいをもっていきいきと働き続けられることが欠かせないと考えております。Glicoグループでは従業員の健康維持・増進を重要な経営課題と位置づけ、従業員自身の主体的な健康づくりを積極的に支援しております。
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