エネルギー産生栄養素バランス
エネルギー産生栄養素バランスとは

エネルギー産生栄養素バランス
restaurant_menu エネルギー産生栄養素バランスってなに?

栄養成分ナビでは、エネルギーを産生する栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物(アルコールを含む))のエネルギー比率を「エネルギー産生栄養素バランス」として表しました。


これは、今まで「PFC(ピー・エフ・シー)バランス」として表してきたものが、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より、生活習慣病やその重症化を予防する目的で名称が変更され、目標値が新たに設定されたものです。エネルギーを構成する栄養素のとり方をチェックする大まかな目安としてご利用ください。

理想的なエネルギー産生栄養素バランス

エネルギーを産生する栄養素は、私たちの体内でエネルギーに変わります。エネルギー量は、「アミノ酸組成によるたんぱく質(たんぱく質)」、「脂肪酸のトリアシルグリセロール当量(脂質)」、「利用可能炭水化物(炭水化物)・食物繊維総量・糖アルコール」のそれぞれの換算係数のエネルギー(kcal)になるといわれています。各換算係数はエネルギーのページをご参照ください。(換算係数=1gあたりのエネルギー量)


このように、食べ物のエネルギーは、主に各栄養素の重量にそれぞれのエネルギー換算係数を乗じた数値の合計です。エネルギー産生栄養素バランスは、エネルギーを産生する各栄養素のエネルギー量が、食品および食事全体のエネルギー量の何%にあたるか計算して出しています。

  • ※ただし、次のような時、計算結果の合計%が100%にならない場合がありますが、これらは間違いではありません。
  • 1. エネルギー産生栄養素バランスの計算では、たんぱく質、脂質、炭水化物を使っています。一方、分母となる、食品および食事全体のエネルギー量の算出には、食品によっては異なったエネルギー換算係数を使っている場合があります(例:P 3.96、F 8.37、C 4.20)。このため、計算結果の合計%が100%から多少ずれることがあります。
  • 2. たんぱく質、脂質、炭水化物以外のエネルギーをもつ食品(酒類、食酢を含む調味料など)では、アルコールや酢酸を多く含むほど、計算結果の合計%は100%より小さい値になります。

エネルギー産生栄養素バランスの目標量

食事の栄養バランスは量と質の両面からみることが大切です。エネルギー産生栄養素バランスは、大まかに栄養の質を評価する指標のひとつです。食事のエネルギー構成比をみることによって、各種栄養素が不足せずバランスよく摂取できているかがわかります。


「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病の発症予防とその重症化予防を目的として、一歳以上の人を対象に、新たにエネルギー産生栄養素バランスの目標量の範囲が設定されました。

男性 女性
目標量
(%エネルギー)
たんぱく質
目標量
(%エネルギー)
脂質
目標量
(%エネルギー)
炭水化物
目標量
(%エネルギー)
たんぱく質
目標量
(%エネルギー)
脂質
目標量
(%エネルギー)
炭水化物
0~11(月) - - - - -
1~2(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
3~5(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
6~7(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
8~9(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
10~11(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
12~14(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
15~17(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
18~29(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
30~49(歳) 13~20 20~30 50~65 13~20 20~30 50~65
50~64(歳) 14~20 20~30 50~65 14~20 20~30 50~65
65~74(歳) 15~20 20~30 50~65 15~20 20~30 50~65
75以上(歳) 15~20 20~30 50~65 15~20 20~30 50~65
妊婦(初期) - - - 13~20 20~30 50~65
妊婦(中期) - - - 13~20 20~30 50~65
妊婦(後期) - - - 15~20 20~30 50~65
授乳婦 - - - 15~20 20~30 50~65

※表は横にスクロールできます。

  • 必要なエネルギー量を確保したうえでのバランスです。
  • たんぱく質において、65歳以上の高齢者についてフレイル予防を目的とした量を定めることは難しいですが、身長・体重が参照体位に比べて小さい方や、特に75歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した方など、必要エネルギー摂取量が低い方では、下限が推奨量を下回る場合が有り得ます。この場合でも下限は推奨量以上とすることが望まれます。
  • 脂質においては、その構成成分である飽和脂肪酸など、質への配慮を十分に行う必要があります。
  • 炭水化物においては、アルコールを含みますが、その摂取を勧めるものではありません。また、食物繊維の目標量を十分に注意して下さい。

なお、活用にあたっては、このバランスだけを気にするのではなく、栄養素の質、すなわち、栄養素を構成している成分(例えば脂肪の場合は飽和脂肪酸、炭水化物の場合は食物繊維)に各々の目標量があるため十分に配慮することが大切です。

日本人のエネルギー産生栄養素バランスについて

1960年代ごろまで一般的に日本人の食事は、理想的なエネルギー産生栄養素バランスと比べると、穀物や芋などの炭水化物が多く、脂質が少ないバランスでした。その後は食生活の欧米化にともなって脂質を食べる量が年々増えました。


国民健康栄養調査によると最近の日本人全体の平均脂質摂取状況は約25%であり、エネルギー産生栄養素バランスはほぼ望ましい状況と考えられ、日本が世界一の長寿国になれたことと深く関係すると言われています。しかし、これはあくまで平均のお話です。


20歳以上で脂質を30%を超えてとり過ぎている人の割合は、男性で約2割、女性で約3割もみられることから、これらの人では適切なバランスになるよう注意が必要です。


エネルギー産生栄養素バランスをチェックして、より健康的な食生活づくりにお役立てください。