紫外線対策は「美意識」から「健康意識」へ 酷暑時代に考える“肌の健康寿命”とビタミンE
近年、日本の夏は厳しさを増しています。
熱中症対策への意識が高まる一方で、紫外線対策についてはまだ「美容のため」というイメージを持つ人も少なくありません。しかし、気象環境の変化や研究の進展により、紫外線対策は今や健康を守るための習慣として捉えられるようになってきています。
今回開催された「紫外線対策×ビタミンEセミナー~酷暑日時代に考える肌の健康寿命~」では、気象予報士、皮膚科医、管理栄養士の3名が登壇。紫外線を取り巻く環境変化から、肌の健康寿命を守るための新しい考え方、そして毎日の食事で実践できるインナーケアまで、健やかな未来につながるヒントが紹介されました。
プロフィール
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◆気象予報士 井澤愛巴さん
防災士や気象防災アドバイザーの資格も取得し、防災に関しての知識を深める。現在は気象防災アドバイザーとして各自治体で講師を務めながら、フリーアナウンサーとしてもラジオ日本でニュースを担当するなど活動の幅を広げている。 -

◆皮膚科医 田尻友恵さん
皮膚科医・美容皮膚科医・内科医として臨床の最前線に立ち、医療法人理事長兼クリニック院長を務める。一般皮膚科から最新の美容皮膚科、内科までトータルな医療を提供。 情報番組の医療監修やTV・ラジオ出演経験も豊富。 -

◆管理栄養士 吉野愛さん
フードスタイリスト、食育インストラクター。企業の健康的なメニューの開発、栄養アドバイス、野菜ソムリエ、食育インストラクターなどの栄養講座の講師やフードスタイリストとして活動中。
Glicoとアーモンドが歩んできた歴史
セミナー冒頭には、江崎グリコ健康イノベーション事業本部の江川直さんが登壇しました。
江川さんは、1930年に創業者・江崎利一氏がアメリカでアーモンドと出会ったことが、Glicoとアーモンドの歴史の始まりだったと説明します。その後、「アーモンドグリコ」や「アーモンドチョコレート」の発売を通じ、日本にアーモンド文化を広めてきました。
さらに2013年にはアーモンドミルク事業をスタート。粒のままでは食べにくいという声に応えながら、アーモンドの栄養を手軽に摂取できる商品として市場を開拓してきたと紹介しました。
紫外線はシミやしわだけでなく皮膚がんのリスクも 増加する紫外線から健康を守るには?
気象予報士の井澤愛巴さんは、「UVケアは『美意識』から『健康意識』へ」をテーマに、近年の気象変化と紫外線対策の重要性について解説してくれました。
まず井澤さんが紹介したのは、日本の夏を取り巻く環境の変化です。近年は記録的な高温が続き、2025年夏(6〜8月)の平均気温は統計開始以来最高を記録しました。さらに、40℃以上の日を表す新たな呼称として「酷暑日」が誕生するなど、日本の夏はかつてない暑さに直面しています。 一方で、変化しているのは気温だけではありません。井澤さんによると、地表に到達する紫外線量は観測開始(1990年代初め)以降増加傾向にあり、10年あたりの増加率は+約4.6%(つくばの定点観測)になっているといいます。
私たちが日常的に浴びる紫外線は、気づかないうちに増加傾向にあるのです。
紫外線は日焼けなどの急性的な症状を引き起こすだけでなく、長年にわたって浴び続けることでシミやしわ、さらには皮膚がんなどの健康リスクにつながることも知られています。 また、紫外線対策で見落とされがちなのが「照り返し」の存在です。紫外線は上から降り注ぐだけではなく、砂浜やアスファルト、水面などで反射し、肌に影響を与えます。加えて、曇りの日でも紫外線の80〜90%が雲を通過するとされており、「曇っているから安心」とは言えない状況です。
井澤さんは、「紫外線対策は、美容だけでなく健康を守るための習慣へと変わってきています」とコメント。男性の日傘や子どもの帽子・サングラスが広がっている背景にも、こうした環境や意識の変化があると説明しました。暑さ対策と同様に、世代を問わず紫外線対策に取り組むことの重要性を呼びかけました。
肌老化の8割は紫外線が原因 肌にも「健康寿命」という考え方を
続いて登壇した皮膚科医の田尻友恵さんが紹介したのは、「スキンロンジェビティ(Skin Longevity)」という考え方です。
これは、シワやたるみなどの老化サインが現れてから対処するのではなく、その原因に先回りしてアプローチし、生涯にわたって健やかな肌を維持しようという新しい概念です。人生100年時代を迎えるなか、田尻さんは「体の健康寿命だけでなく、肌の健康寿命も意識する時代になっています」と説明してくれました。
従来のエイジングケアが老化サインへの対症療法だったのに対し、スキンロンジェビティは酸化や慢性炎症など、老化の根本要因に着目した予防型のアプローチです。なかでも重要なのが紫外線対策。田尻さんによると、肌老化の約8割は紫外線などの外的要因によるもので、加齢による自然老化は約2割程度に過ぎないとされています。
私たちの細胞膜は主に脂質でできていますが、紫外線によって発生する活性酸素にさらされると、その脂質が酸化されて細胞膜がダメージを受けます。すると、細胞やコラーゲン繊維も傷つくため、シミやたるみ、皮膚がんの原因となってしまいます。本来、人の体には活性酸素を除去する抗酸化システムが備わっていますが、その働きは20代をピークに低下していくため、年齢を重ねるほど対策が重要になるといいます。
そこで田尻さんが重要性を強調したのが、日焼け止めや日傘などによる「外側のケア」と、栄養による「内側のケア」を組み合わせることです。紫外線は肌の奥まで到達するため、外側からの対策だけでは防ぎきれないダメージもあります。そこで注目されるのがビタミンEです。
ビタミンEは、細胞膜を酸化ダメージから守る働きが期待されています。また、血流をサポートすることで肌のターンオーバーを助けるほか、水分保持やバリア機能の維持にも関わるとされています。
さらに、ビタミンCと組み合わせることで抗酸化作用の相乗効果も期待できるとのこと。田尻さんは、紫外線対策などの外側からのケアに加え、ビタミンEを意識した食生活を継続することが、肌の健康寿命を支える重要なポイントだと呼びかけました。
ビタミンは必須栄養素なのに体内でほとんど作れない! だからこそ食事から摂取する必要がある
管理栄養士の吉野愛さんは、栄養の観点から「食べるUVケア」について解説してくれました。栄養素には「体のもとになる」「エネルギー源になる」「体の調子を整える」という役割があり、その中でもビタミンは「体の調子を整える」上で大切な栄養素です。
吉野さんが特に夏に意識したい栄養素として紹介したのが、ビタミンE。ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類や植物油、魚介類に多く含まれており、細胞の健康を守るために欠かせない栄養素です。
さらに吉野さんは、ビタミンEとビタミンCを組み合わせて摂ることの重要性についても説明しました。
抗酸化作用(細胞の酸化を防ぐ働き)を発揮したビタミンEは一度働くと力を失いますが、ビタミンCがその働きを再び活性化させるため、両者を一緒に摂ることで抗酸化作用がより持続するといいます。具体例として、アボカドとレモン、かぼちゃとブロッコリーなどの食べ合わせを紹介しました。また、ビタミンAを加えた「ビタミンACE」の組み合わせも推奨。ビタミンAは肌のうるおい維持、ビタミンCはコラーゲン生成、ビタミンEは血流促進を担い、健やかな肌づくりを支えます。
また、ビタミンEを効率よく摂る食品として挙げられたのがアーモンドです。アーモンドはビタミンE含有量が高い一方で、一度にたくさん食べるのが難しいことから、吉野さんはアーモンドミルクの活用を提案しました。
近年、牛乳や豆乳に続く植物性ミルクとして注目を集めるアーモンドミルクは、ドリンクとしてだけでなく、ラテやスムージー、パスタなどの料理にも利用できます。
会場では、吉野さん考案のアーモンドミルクを使ったレシピも紹介されました。
吉野さんは、アーモンドミルクは飲むだけでなく料理にも手軽に活用できると紹介し、「おいしく続けることが健康習慣につながる」と、日々の食生活に無理なく取り入れることの大切さを伝えてくれました。
▲夏にぴったりな「彩り野菜と鶏そぼろのアーモンドミルク出汁和え麺」
▲夏バテ予防に嬉しいビタミンB1を含んだ「豚肉のアーモンドミルク煮」
▲素材をジップロックに入れて揉んで凍らせるだけの「アーモンドミルクとアボカドバナナアイス」
外側と内側から、未来の肌を守る
猛暑や紫外線量の増加が続くなか、紫外線対策はもはや美容のためだけのものではありません。日焼け止めや日傘による外側からのケア。そしてビタミンEなどを意識した食生活による内側からのケア。両方を組み合わせながら日々積み重ねていくことが、これからの時代の「肌の健康寿命」を支える大切な習慣になりそうです。

