Glico創業者 江崎利一が残した、魂の言葉とは?〈2〉

Glicoの創業者 江崎利一が、その97年の生涯の中で残した数々の言葉。商売を天職に時代を駆け抜けた創業者の思いは、今なお、驚くほどリアルでストレートに、私たちの心に響いてきます。きびしくも思いのつまった言葉たちには、ビジネス社会でよりよく生き抜くために、ちょっと行き詰まった時にも思い出したい、心のビタミンがいっぱいです。

「山頂に位地を占めて、上から下に転がすように」

日々の仕事は、小さな成果をひとつひとつ積み上げていくことが基本。利一自身、商売を始めてからずっと、地道な努力を積み重ね、商売の道を切り開いてきました。「山の麓から改め登ることは骨が折れる。山頂に位地を占めて、上から下に転がすようにせねば事業の発展も難しい。こう考えて私は大阪に出ることにした。」利一が大阪での事業を決意した際、社員に発した言葉です。実際に発売当初、グリコの売れ行きがまったくのびず行き詰った際も「一流の販売店に陳列せねば、よい品もなかなか一流の商品と見られるようにならない。」、と。当時、大阪でもっとも信頼を得ていた三越百貨店(当時は三越呉服店)に根気よく通いつめ、無名の商品だったグリコを置いてもらうことに成功します。結果 「栄養菓子グリコ、三越その他信用ある菓子店にあり」と販売宣伝にうまく利用し、一気に販路を広げていきました。

利一が思い至った策を現代に置き換えてみると、下からコツコツ攻めるより、上から攻めた方が、結果的には早道となるといったところでしょうか。日頃の地道な努力はもちろん大切ですが、一見無謀とも思える方法こそが、実は物事の本質に届く効率的な方法となることがあります。がんばっているのに仕事が思うように進まない。そんな時は一度原点に立ち返り、あらためてゴールへの道筋をイメージする。多角的な視点から、攻めどころを見直す発想の転換も、ビジネスを進める上でとても大切なことなんですね。

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  • 南の島とビールを愛するライター・エディター

    石井緑子