Glico直営店「Glico ALMOND DAYS」の開業STORY

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Glicoグループが60年以上前から研究し続けている“アーモンド”。このたった1つの素材の価値を追求し、新しいアーモンドの食文化を発信する事業として、2022年12月15日、東京駅一番街の地下1階 「東京おかしランド」に、Glico直営店「Glico ALMOND DAYS」がオープン!店内キッチンで手作りする、選りすぐりの植物性原料のみを用いたアーモンドミルクを中心に、さまざまな同店限定メニューを提供しています。

Glico直営、アーモンド専門店、という驚きの新事業の実現には、多くの壁や困難があったといいます。それをどう乗り越え、アーモンドの魅力が詰まったメニューはどのように誕生したのか。プロジェクトチームのリーダーである江川 直さんと商品開発を担当する中村 博章さんに、これまでの経緯や思いをお聞きしました。

【プロフィール】

  • 担当者 江川

    江川 直 (健康イノベーション事業本部・健康事業マーケティング部 所属)

  • 担当者 中村

    中村 博章 (健康イノベーション事業本部・商品開発部 所属)

  • 「工場ではなく店舗でつくる、素材の味を活かす」を条件に、 アーモンドを使った〝今までやっていないこと〟をとことん模索。

    Q.2021年6月にプロジェクトが発足しましたが、どのようにスタートしたのでしょうか。

    担当 江川と中村

    【江川】
    当初から「アーモンドを核とした新しい価値を創造し、事業化する」ということは決まっていました。プロジェクトチームが発足する半年前から健康事業に携わっていたので、新規事業のアイデアなどを木村 幸生さん(健康イノベーション事業本部 本部長)と検討していて。その中のいくつかをたたき台に、チームメンバーとディスカッションを重ねました。前提条件は「Glicoが今までやっていないこと」。それまでは無理だと思っていたようなことに、あえて挑戦するという姿勢です。

    21年の年末くらいまでは、実は2つのアイデアを並行して検討していました。
    ひとつは「アーモンド使った新しい食スタイルを提案する」こと。飲み物にするか食べ物にするかは決まっていませんでしたが、どちらかというとこちらのプロジェクト案をメインに話し合いが進んでいたんです。

    もうひとつの案が、アーモンドを使ってこれまでにないお菓子を開発し、東京駅に縁があった「実店舗」で販売する事業を考えようとしていました。

    Q.あえてアイデアをひとつに絞り込まず、2つを同時に進めるというのはかなりハードですよね。

    【中村】
    そうですね(笑)。でも共通する部分もいろいろあったんです。たとえばメニューでいえば、「新しい食スタイルとして」考えたドリンクがスイーツとしても活かせる場合がある。なので、アイデアがそれぞれを行き来していました。

    【江川】
    どちらの案も、プロダクトの根底として「工場で作ることを前提には考えない」「素材の味を大切にする」ということは徹底しようと決めていました。ここが共通しているので、お互いのアイデアが重なる部分がありましたね。

    通勤利用の社会人が習慣化できること。 「わたしにピッタリ、アーモンドのちから」に込めた想い。

    「わたしにピッタリ、アーモンドのちから」

    Q.「直営」「実店舗」の方向への絞り込み、コンセプトやプロダクトはどのように決まっていったのでしょうか。

    【江川】
    東京駅という立地を考えると、ターゲットは通勤利用する社会人。その方々に習慣化してもらう、つまり毎日通ってもらうとなるとドリンクじゃないかと。そこでGlicoの強みと資産を活かすことができる、アーモンドミルクを骨格にしようとなったわけです。

    【中村】
    メニューのラインナップは、お店のコンセプトである「わたしにピッタリ、アーモンドのちから」を念頭に決めていきました。

    【江川】
    メニューが多いという意見もあったのですが、コンセプトから考えるとこうなったんです。そもそも「社会人が習慣化する」といっても、実にさまざまな人が東京駅を訪れる。人によって好みや気分が違うので「私だったら、これなら続けられる」を用意しないといけない、と考えました。これがコンセプトの「わたしにピッタリ」に込められた意味です。

    アーモンドの個性と特性に向き合う、メニュー開発への新たな挑戦。

    Q.メニュー開発は中村さんが中心となって進められましたが、どのような苦労がありましたか?

    ドリンク

    【中村】
    それまでプリッツとか焼き菓子の開発に携わっていて、ドリンクの開発は初めてのチャレンジでした。でも、味づくりという点では手段は違っても根本的な考え方は同じ部分があります。ですから、大きな抵抗感はなく楽しんで取り組めました。
    逆に、実店舗で飲料を作るのであれば、それまで必ず考えなければならなかった賞味期限であったり工場生産の制約だったりが、無いということ。新しいジャンルに新しい発想で取り組めることに、大きなやりがいを感じました。

    【江川】
    中村さんには本当にたくさん試作してもらいました。中でも、アーモンドが〝良い脇役〟になることが分かったのは大きかったですね。単体で食べるのと違って、ほかの素材と組み合わせると、驚きの脇役になる。これは、いろいろな食べ方や見方ができるんじゃないかと、視野が広がりました。

    【中村】
    ただ、相性があるんですよ。アーモンドは良くも悪くも個性が強いフレーバーなんです。すごく合う素材と、まったく合わない素材に分かれます。チョコレートにはピッタリですが、ブルーベリーとは相性が悪いとか。
    たとえ相性抜群のチョコレートでも、バランスは難しかったです。配合によっては、アーモンドの存在感がなくなって、ただのチョコレートドリンク。おいしくても、「ALMOND DAYS」として果たして良いのかどうかと……。完成品は、ちょうど良いバランスを実現させたクラフトアーモンドミルクの「ブレンド<ショコラ>」です。

    こんな感じでお互いの味を引き立て、高め合える素材の選び方や配合が、いちばん難しいところであり、おもしろいところでもありました。

    Q.ドリンク以外に、持ち帰り商品の焼き菓子などもありますね。これまでとは違う開発の難しさはありましたか?

    スイーツ

    【中村】
    「ALMOND DAYS」の特徴のひとつが、プラントベース、つまり植物性原料で素材の良さを伝える商品を提供していることなんです。つまり、動物性原料を使わないということで、焼き菓子の味のキーポイントとなるバターと卵を使えないんです。もちろん、牛乳も。
    焼き菓子として、おいしいと感じるレベルに仕上げようと思うと、バターと卵なしではかなりハードルが高い。その制約の中で、アーモンドの味わいを前面に出しつつ、おいしい焼き菓子をつくるという作業は難題でしたが、最後までこだわった部分です。

    実店舗オープンへの道のりは、未知の世界! さまざまなパートナーとのタッグで無数の壁にアタック。

    Q.「ALMOND DAYS」ならでは、が詰まったメニューばかりなんですね。 そうして開発されたメニューを実際に店舗で作ったり、運営したりというのは、オペレーション面での大変さがあったのではないでしょうか。

    【江川】
    店舗運営の課題と苦労は、まだ渦中にいるという感じです(笑)。
    私たち自身も店舗づくりについては素人で、まずはプロの助けを借りなければ、絶対に無理だと思いました。ですから、最初に取り組んだことはパートナー探しです。
    飲食店などの開業をサポートするプロフェッショナルと組んで、商品開発部で開発したメニューを店で作るならこうした方が良いとか、厨房の機器はここで探したら良いとか、ありとあらゆることを教えてもらいながら、あちこちに足を運んで進めました。人材を派遣していただくパートナー会社さんにも、オペレーションの仕方や運営マニュアルの作り方、効率の良い作業法などをコーチングしていただきました。
    自分たちの想像の世界だけでは、絶対に実現できることではなかったです。考えが及ばないことばかりでした。

    【中村】
    やらなければならないことが、次から次へと出てきましたよね。これとこれがやっとできたと思っても、それ以上にやらないといけないことが山積みになっていたり。やってみると実はできない、なんてことも出てきますし。
    例えば、商品開発部で作れていた商品を、同じ配合で店の厨房で作ってみると、どうしてもできないことがありました。店に赴いてみて初めて分かることがたくさんありました。

    【江川】
    オペレーションにかかる時間も課題でした。作る時間がかかると、ダイレクトにお客様に迷惑をかけてしまいます。そこをどうやって効率化するかを考えるのに、苦労しました。まだまだ完璧ではありませんが、何とかスタートできたのは、本当に協力してくれたパートナーの方々のおかげです。

    Q.たくさんの壁を乗り越えて開業を迎えられたんですね。 オープンして2か月が過ぎましたが、実際に営業してから想定と異なる出来事はありましたか?

    【江川】
    はい、たくさんあります(笑)。ターゲットだと想定しているお客様に立ち寄っていただくことが思ったより難しいことや、特徴であるアーモンドの素材のおいしさへのこだわりや、プラントベースであることなどがなかなか認知されにくいことなど。たくさんの価値を盛り込みましたが、それらを伝えることは想定以上に難しいところです。こうした課題の改善策や解決策を考えていくことが今のミッションです。
    想定以上に良かった部分もあります。お客様からプロダクトへの評価はすごく高いんです。開業からしばらくは店頭に何度も立っていて、お客様から直接お声を聞くことがありました。「アーモンドってこんなにおいしく楽しめるんだ!」って驚いてくださる姿を見て、〝アーモンドの可能性〟を実感できました。
    お客様の声を直接お聞きするために直営にした経緯もあります。スピーディーにお客様の反応を得られ、次の動きを素早く考えられるのも直営の実店舗だからこその利点です。

    試してみたいアイデアはたくさんある。変化を恐れず未来へ!

    Q.開業からたくさんの課題だけでなく、明るい未来も見えているんですね。 今後の展望についてお聞かせください。

    【江川】
    当初から「アーモンドという素材を、いろいろな食の場面で、お客様がおいしく楽しめる食文化をつくりましょう」という大きな目標を持ち続けています。その点では、メニューや商品のラインナップはお客様の反応を見て常に改良しなければなりません。試してみたいアイデアはすでにたくさんあります。

    今はまず、「Glico ALMOND DAYS」を軌道に乗せて発展させていくのが当面のミッションです。ここを「発信基地」としてアーモンドの新しい食文化を広げていきたいと思います。

    お客様へのメッセージ……

    【江川】
    アーモンド素材そのもののおいしさ、健康感をダイレクトにお客様に伝えたい思いがあり、素材本位という点には妥協していません。
    価格は、様々なカフェチェーンとの比較もしたうえで、お客様に継続して購入していただきたい思いから、お求めやすい価格設定にしたつもりです 。
    もちろん、おいしさにもこだわっているので、アーモンドへの先入観を捨ててぜひ手に取ってみてください。きっと「アーモンドってこんなにおいしいんだ」と驚きがあるはずです。

    【中村】
    アーモンドは“良い脇役”にもなる素材で、単体で食べるのと違って、ほかの素材と組み合わせると、驚きの調和を生み出します。植物性原料のみで素材の良さを伝える商品作りとアーモンドの味わいを前面に出しつつ、おいしいドリンクや焼き菓子を作ることにこだわりました。
    ぜひALMOND DAYSのドリンクやスイーツを手に取って、アーモンドの可能性を味わっていただきたいです。