「焼き物は生き物」!?ビスケットの製造工程には“品質の番人”がいた。

ビスコ
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ビスコ、プリッツなど、グリコのお菓子に欠かせないビスケット菓子。その変わらないおいしさを届けるために、日々、焼き菓子づくりと向き合うスペシャリストがいます。グリコ内でたった2人。日本中のビスコを一手につくっている関西グリコ 神戸ファクトリーの小西秀明さんです。日々、機械だけではできないレベルで、繊細に生地を調整しています。変わらないおいしさの秘訣と小西さんのビスケットにかける想いを聞きました。

ビスケット製造現場に潜入!焼き物スペシャリストってどんなお仕事?

小西氏

−− 神戸ファクトリーでつくられている製品を教えてください。

小西)ビスコ、プリッツ、ポッキーなどを中心とした焼き菓子を製造しています。今、見ていただいているのは、通称「赤ビスコ」と言われる、赤いパッケージのビスコですね。


−− 製造工程自体は、すべて機械化されていますよね。小西さんの役割は?

ビスコ製造

小西)私の仕事は、原料投入から生地の具合のチェック、生地の状態に応じた設備の調整、焼きあがったビスケットの品質検査まで、焼き菓子のすべての工程に関わっています。


−− 原料の配合や生地を練る時間の長さなどはあらかじめ決められていないのですか?

小西)もちろん、基準の値は決まっています。ただ、ビスケットって実はとても繊細。同じ配合、同じ工程で製造しても、膨らまずに固くなってしまったり、逆に大きくなりすぎてしまったり…。その日の温度や湿度などちょっとした変化で、仕上がりが変わってくるんです。もちろん原料も常にまったく同じコンディションとは限りません。それらの具合を見極め、生地の出来上がり具合を想定して細かく調整するのが、私の仕事なんです。

ビスコの生地

−− 機械だけに頼っているわけではないんですね。特に気を使う時期などはありますか?

小西)一番気を使うのは、季節の変わり目ですね。「あ、今日は冷え込んでるな」とか「今日は乾燥してるなあ」みたいな感覚です。「寒そうだから、一枚多く着て出かけよう」って、人間と同じような調節なんですよね(笑)。ここで大切なのは、常に気にかけて先に想定すること。いったん練られた生地を見て、触って「ああ、こうだったな」とわかるのは、比較的簡単なのですが、それでは遅い。あらかじめ想定できることが重要なんです。


−− ちなみに、今触っておられる生地はどのような状態ですか?

小西)弾力があって、ちょうどよい張り具合。とてもよいと思いますね、いい感触です。最高の状態は、自分の手が覚えていますから。今日のビスコはもちろんですが、今神戸ファクトリーで製造している中では、超細プリッツもとても繊細な商品。とにかく1本1本が細いので、生地が切れたりくっついたりしやすく、常にベストな状態に持っていくのに気を使います。

プリッツの生地

−− これらの生地の状態は、その後の焼き具合にも影響するのでしょうか?

小西)もちろんです。長さと幅、重量、反り具合などに影響が出るので、細かなチェックが必要です。焼き菓子はご存じの通り、割れたりしないようきっちりしたサイズで包装しなければなりません。そのため、例えばビスコでは、誤差の範囲を規定サイズから1ミリ以内と定めています。家でクッキーなどを焼いたことがある方はお分かりいただけると思うのですが、焼き菓子って諸条件によって本当に仕上がりの大きさが変化するんです。その中で正確なサイズコントロールを日々行っています。

ビスコ焼き上がり

規格外のサイズで焼きあがったものは、ラインの上でも、目で見てわかりますよ。


−− さすがです。私にはまったく同じに見えました…。
さらに焼きあがったビスケットを、計器でチェックするのですよね。

小西)その通りです。電子ノギスなどの計器で細かく見ていきます。

電子ノギス

焼き菓子は、型にはめてつくるタイプのお菓子と違い、あらかじめサイズコントロールができないですよね。ベストな生地をベストな状態で焼き、焼きあがったらさらにきびしく検査する。そんな工程が必要なんです。


−− スペシャリストのお仕事がわかった気がします。
最後に小西さんのビスケットにかける想いをお聞かせください。

小西)このファクトリーでビスコのラインを立ち上げる時、私の子どももビスコを食べはじめる時期でした。自分のつくるビスコを子どもが食べる。子どもからお年寄りまでが喜んで食べてくれる焼き菓子であることを実感し、愛着が生まれました。ありがたいことに私のそばには、グリコのビスケットの歴史そのものともいえる師匠がおられましたので、その真摯な姿勢に学び、必死で技術を習得し勉強を続けました。もちろん今も道半ば。「こうしたらもっとよくなるのでは、この製法はどうだろう」と探求の日々は続いています。

小西氏

「焼き物は生き物。むずかしいです」。スペシャリストにして謙虚にそう語られる小西さん。私たちが日頃当たり前のように思っている「いつも変わらないおいしさ」には、高い技術力と熱い想いを持つ、スペシャリストの存在があったんですね。


〈焼き菓子スペシャリスト〉
小西 秀明|関西グリコ 神戸ファクトリー
平成3年入社。毎日の気温・天候に合わせて、温度・加湿量・寝かしをコントロール。製法のみならず、製造工程(機械)についても精通し、グリコのお菓子の品質を創っている。

  • 南の島とビールを愛するライター・エディター

    石井緑子

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