1.気候変動への対応・温室効果ガスの削減
Glicoグループ環境ビジョン2050中長期環境定量目標
環境ビジョン2050進捗(グローバル)
2024年度、CO₂総排出量は2013年比34%削減しました。(※現時点では換算係数が未更新のため暫定)引き続き燃料転換やCO₂フリー電力(※)への切り替えを推進し、2030年までに50%削減達成を目標に取り組みます。 さらに、2050年までに、CO2フリー電力の幅広い活用や省エネ・創エネなどの新技術、冷凍機の更新等を通じ、温室効果ガス(CO₂やフロンガス等)を100%削減することを目指します。
代替フロンについては、グローバルにおける使用状況を確認し、対象機器のリストを作成し、対象機器の計画的な更新を計画・実行しています。 日本における「セブンティーンアイス」専用の自動販売機についても、R22冷媒使用機の撤廃は、2024年12月時点で残り7台まで進捗しています。
※ CO2フリー電力とは、再生可能エネルギー由来を主体とする電力になります。Glicoでは、電力供給事業者との契約の中で、使用電力のCO2排出量をゼロ(=フリー)と換算できる環境価値を付加したプランを選択した場合をCO2フリー電力と位置付けています。
エネルギー等の使用実績の推移
グローバル ※1
主なエネルギー・物質 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|
原単位(Kl/億円) | 28.3 | 29.2 | 30.2 |
電気(千kWh)※3 | 193,920 | 197,858 | 181,820 |
都市ガス(千m³) | 14,550 | 14,862 | 14,046 |
LPガス(t) | 324 | 356 | 272 |
LNガス(t) | 772 | 919 | 926 |
重油(千kl) | 1.6 | 1.9 | 2.2 |
ガソリン(千kl) | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
日本 ※2
主なエネルギー・物質 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|
原単位(Kl/億円) | 30.0 | 28.8 | 26.9 |
電気(千kWh)※3 | 137,645 | 141,713 | 147,855 |
都市ガス(千m³) | 10,745 | 11,404 | 11,617 |
LPガス(t) | 205 | 212 | 99 |
LNガス(t) | 772 | 919 | 926 |
重油(千kl) | 1.6 | 1.9 | 2.2 |
ガソリン(千kl) | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
※1 Glicoグループ連結会社(日本・海外。一部グループ会社・事業所を除く。)
※2 Glicoグループ連結会社(一部グループ会社を除く。)
※3 コージェネレーションシステムによる発電量を除く。
※1 Glicoグループ連結会社(日本・海外。一部グループ会社・事業所を除く。)
※2 Glicoグループ連結会社(一部グループ会社を除く。)
製造工場における取り組み
製造工場では、電気やガスだけでなくさまざまなエネルギーを使用していますが、業務の効率化を図り、省エネを推進しています。また、エネルギーを使用する設備は、計画的に省エネタイプに更新しています。CO₂の排出量が多い重油を使用する設備は、効率を考慮しながら計画的にガス化する等、エネルギー転換を行います。
CO₂排出量の推移
2024年度のCO₂排出量は、前年度よりさらに減少し、2030年目標に近づきました。従来からの省エネ活動に加えて、工場で使用する電力をCO₂フリー電力(CO₂を排出しない再生可能エネルギー電源に由来する環境価値付きの電力)に計画的に切り替えていることが大きな削減につながっています。
製造工場におけるCO₂排出量の推移
※各年度の電気事業者別の調整後排出係数を使用。
※原単位は、t-CO₂/生産高(億円)。
※2019年より、1月~12月の年間実績に換算。
CO₂フリー電力比率の向上
東日本6工場(仙台、那須、茨城、千葉、北本、東京)については、2023年4月より、工場で使用する電力の100%をCO₂フリー電力の購入に切り替えました。これにより、国内工場の電力使用量の約50%が再生エネルギー由来の電力となっています。2024年には新たに岐阜工場、三重工場、兵庫工場、佐賀工場も100%CO₂フリー電力に切り替え、2025年度中にはグリコマニュファクチャリングジャパン(株)の全13工場を切り替える予定です。今後も計画的にCo2フリー電力へ切り替えることで電力利用に伴うCO₂排出の抑制に取り組みます。
設備更新によるエネルギー効率化
神戸工場では、2020年2月に、コージェネレーションシステムを更新しました。更新前に比べ、年間約960tのCO₂削減(神戸工場の総排出量の約4%)に貢献しています。 那須工場と茨城工場では、2021年2月より従来のA重油から液化天然ガスに、兵庫工場は、2025年2月よりA重油からLPガスにそれぞれ燃料転換したボイラーに更新しました。年間約1,550tのCO₂削減につながっています。
太陽光パネルの設置・発電
江崎格力高南奉食品(上海)有限公司の取り組み
江崎格力高南奉食品(上海)有限公司
江崎格力高南奉食品(上海)有限公司では2021年12月より、太陽光パネルによる発電(第1期)を開始し、年間約46万kWhの発電が実現しました。2022年、第2期パネル設置工事をスタートし、2023年2月から発電を開始しました。第1期・第2期合わせて2023年度は64.5万kWhの発電量、270tのCO₂排出削減の実績となりました。2024年は、2025年開始に向け、第3期の準備を進めました。
Glico Manufacturing Indonesiaの取り組み
Glico Manufacturing Indonesia
『Pocky』の最新鋭技術が詰まった新工場、Glico Manufacturing Indonesia が2022年3月末に完成しました。 敷地面積は約6万㎡、建物の延床面積は約5万7,000㎡で、 『Pocky』の自社工場として過去最大規模です。 太陽光パネルを屋根に設置し、2024年度の発電量は119万kWh、年間で約1,038tのCO₂排出削減に貢献しました。
新技術へのチャレンジ
焼き菓子製造における水素燃料取り組み
『Bisco』のビスケットや『Pocky』の芯に当たるプレッツェル部分などの焼き菓子は、電化オーブンでは熱量が足りずに従来のおいしさを担保しにくいと言われています。このため、現在は都市ガスを使用していますが、将来の技術革新を見据えて水素エネルギー協会に唯一の食品企業として加盟しています。水素由来の燃料で焼き菓子を作ることを想定した研究を続けています。
岐阜工場に「水素」を利用した燃料電池フォークリフトを導入、脱炭素社会への実現へ
次世代エネルギーとして注目される水素の実用性を検証するため、食品業界で初めて燃料電池フォークリフトを導入しました。燃料電池フォークリフトは、利用時に水しか排出しないため、CO₂の削減となるとともに、短時間での充填が可能なため作業環境の改善に役立ちます。このような取り組みを進めることで、今後の脱炭素化と水素利用の拡大に向けた準備を進めています。さらに、地域全体での脱炭素取り組みを加速化するため、岐阜県安八町と「脱炭素包括連携協定」を締結しました。本協定のもと、自治体と協力しながら、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化していきます。
製造会社におけるVC活動表彰
VC活動の報告会の様子
製造ラインを安定させることで高品質・低コストな生産体制や安全性の高い職場環境を実現するため、VC(Value Creation)活動を行っています。 Glicoグループの製造会社等が集まり、VC活動の報告会を実施し、年1回優秀事例を表彰しています。
物流における取り組み
Glicoグループでは、商品の輸送時のエネルギー使用量や積載効率等にも配慮して、CO₂の削減を進めています。
- 物流全体の効率を踏まえた物流拠点の展開・見直し
- 同業他社との共同配送の拡充による配送効率の向上
- 増トン車・トレーラー活用による積載量の向上
- 鉄道輸送・船舶輸送へのモーダルシフトの推進
「ホワイト物流」推進運動への参加
江崎グリコは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、「ホワイト物流」推進運動事務局に自主行動宣言を提出しています。 「ホワイト物流」推進運動とは、深刻化する運転手不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とし、①トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化②女性や60代の運転者等も働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現に取り組むものです。 今後も、物流事業者の皆さまとの相互理解の下に連携して、物流の効率化や生産性向上に向けた取り組みを進めていきます。
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取組項目 | 取組内容 |
物流の改善提案と協力 | 長時間待機の削減や附帯作業の是正等の物流改善について、物流事業者から要請があった場合には、真摯に協議に応じるとともに、着荷主(取引先)への働きかけを積極的に行います。 |
予約受付システムの導入 | トラックの予約受付システムを導入し、荷待ち時間を短縮します。 |
パレット等の活用 | パレット、カゴ台車、折りたたみコンテナ、通い箱等を活用し、荷役時間を削減します。 |
発荷主からの入出荷情報等の事前提供 | 発荷主として貨物を発送する場合に、物流事業者や着荷主の準備時間を確保するため、入荷情報等を早めに提供します。 |
リードタイムの延長 | 配車業務の安定化を図るため、着荷主(取引先)と協力し、受注から納品までのリードタイムの延長に取り組みます。 |
船舶や鉄道へのモーダルシフト | 長距離輸送について、トラックからフェリー、RORO船や鉄道の利用への転換を行います。この際に、運送内容や費用負担についても必要な見直しを行います。 |
運送契約の書面化の推進 | 運送契約の書面化を推進します。 |
異常気象時等の運行の中止・中断等 | 台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行いません。また、運転者の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重します。 |
トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化 | ・パレットへの積付け改善や増パレット車等のトラックの大型化により輸送の生産性を高めます。 ・物流部門だけではなく、調達、生産、セールス部門と連携し、End to Endの物流の効率化を図ります |
共同配送の推進 | 共同配送の展開を進め、積載率の向上、配送先の集約、配送頻度の削減等、配送の効率化に取り組みます。 |
VMI(Vendor Managed Inventory)倉庫の活用
江崎グリコは、2019年10月より、物流における社会課題への取り組みとして、食品製造に必要な原料をサプライヤー各社と共同で一括管理する新たな物流体制「VMI(Vendor Managed Inventory/ベンダーによる在庫管理)」を構築しています。2019年10月より「関東VMIセンター」(埼玉県加須市)を、2022年3月より「関西VMIセンター」(兵庫県神戸市)を稼働させました。これにより、トラック走行距離が圧縮され、荷下ろし渋滞が解消されることでCO₂削減にもつながっています。VMI倉庫の活用でCO₂を年間518t、従来比で75%を削減しました。
ダブル連結トラックの共同運行開始
株式会社キユーソ ー流通システム、NEXT Logistics Japan 株式会社 と2024年9月2日(月)より、ダブル連結ト ラックを活用し、江崎グリコの菓子と異業種の荷物の同時輸送を開始しています。 ダブル連結トラックは、ドライバー1 人で大型トラック2台分の輸送力を確保できるため、ドライバー不足の対策と して期待されます。また、中継拠点でドライバー交替することで、ドライバーの日帰り運 行が可能となり、労働環境の改善を見込んでいます。本運行により、CO₂排出量を年間約20%※削減できる見込 みです。
商品企画・販売・セールス活動における取り組み
環境に配慮した商品企画・設計、製品原料の集約化(効率的な調達・使用)
Glicoグループでは、安全・安心な商品を提供するため、原材料をはじめとするさまざまな資源を使用しています。原材料の調達から製造、消費に至るまでの環境負荷を低減するため、開発・企画段階から環境に配慮した商品設計を行っています。「おいしさ」や「健康」にこだわり、品質を追究するための原料研究を進める一方で、効率的で無駄のない製造を行うために、原料数の集約も進めています。
インターカーボンプライシング(ICP)制度導入
江崎グリコは、Glico グループの設備投資を対象に、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度※を導入しています。CO₂排出量の増減を伴う設備投資計画について、設定した社内炭素価格を適用し、仮想的な費用に換算して、投資の判断基準のひとつとして運用しています。ICP 制度の導入を通じて、低炭素投資や気候変動対策を推進します。
※ICP 制度:社内における炭素価格を設定し、CO₂排出量を費用換算することで、排出量削減に対する経済的インセンティブを創出し、社内で気候変動への対応を促す仕組み。
■Glico グループの ICP 制度
<社内炭素価格>:63US ドル/t₋CO₂(※2025年1月時点)
<ICP 制度対象>:CO₂排出量の増減を伴う設備投資
<適用方法> :対象となる設備投資に伴う CO₂排出量に対し、社内炭素価格の適用により費用換算したものを、投資判断の参考とする。設備投資を行う判断基準のひとつとして、ICP 制度を活用し、低炭素投資や気候変動対策を推進します。
自動販売機における取り組み
省エネタイプの自動販売機
『セブンティーンアイス』や飲料・デザートは、自動販売機でも販売しています。自動販売機への真空断熱材の使用やLED照明に切り替える等して、計画的に省エネタイプに切り替えています。
業務の効率化や見直しによる企業活動の質的向上
業務の効率化や見直しによる企業活動の質的向上が環境負荷低減につながるという考えのもと、事業活動の生産性向上やロス削減等に取り組んでいます。
オフィスにおける省エネ取り組み
オフィスで最もエネルギーを使用するのは空調設備です。電気の使用量を削減するために、クールビズ・ウォームビズを推奨し、来社されるお客様にも趣旨をご理解いただけるよう案内を行っています。施設面においては、オフィスの照明や電子機器を省エネ型に切り替え、不要時の電源オフ徹底を呼び掛けています。また、オフィスで使用するコピー用紙、名刺については全て森林認証紙を使用しています。
セールスにおけるエコドライブ取り組み
セールス部門では、業務の効率化や省エネ、エコドライブを推進しています。CO₂の排出が少ないハイブリッド車への入れ替えを進めるとともに効率的な運用にも取り組んでいます。また、グリコチャネルクリエイトでは、走行時のCO₂排出が少ない電気自動車を導入しています。
表彰・認定等
Glicoグループでは、複数の事業所所在の行政機関から環境に関する表彰や認定をいただいています。
エコレールマーク取り組み企業認定
江崎グリコは、エコレール取り組み企業として認定されています。
<エコレールマーク認定商品>
「令和3年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」において、「国土交通大臣表彰」を受賞
NEXT Logistics Japanほか15社との取り組みとして「『ドライバー不足によりモノが運べなくなる』という社会課題解決に向けた高効率輸送スキームの構築」を実現しました。同取り組みでは、異業種・業態の複数の企業が個社で便を立てて行っていた輸送を、NEXT Logistics Japanのクロスドックセンターに荷を集め、25mダブル連結トラックで束ねて輸送することで、輸送効率を向上させ、省人化や労働環境の改善を図りました。
令和4年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」において、「物流DX・標準化表彰」を受賞
チルド販売物流でのAI配車を活用した適正化モデルが「令和4年度 物流DX・標準化表彰」を受賞しました。 配送車両の効率化による積載率UP、CO₂削減、労働時間の短縮を目指し、ライナロジクス社・ゼンリンデータコム社とAI配車を導入しました。物量・配送リードタイム・納品時間などの配送条件を基にAIが高積載・効率的な配送ルートを設計、納品時間の微調整を経て大幅なCO₂削減、車両台数の削減、労働時間の短縮を実現しました。
「令和5年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」において、「特別賞」を受賞
「令和6年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」において、「強靭・持続可能表彰」を受賞
地球温暖化対策の推進に優れた「トップレベル事業所」として認定
表彰式の様子
埼玉県では、目標設定型排出量取引制度の対象事業所のうち、地球温暖化対策の推進の程度が特に優れた事業所を「優良大規模事業所(トップレベル事業所等)」として認定しています。
GMJ北本工場は、従来工場に比べてCO₂排出量を25%削減する設計で建設された工場で、主要商品として『Pocky』と『プリッツ』を製造しています。今回、熱源ポンプ及びエアコンプレッサーの高効率化及び井水熱を利用した中温冷水利用システムの導入により電力使用量を削減したことが評価され、平成29年度に「トップレベル事業所」として認定されて以降、令和4年度に更新認定されました。
公益社団法人 国土緑化推進機構の「緑の募金」に寄付
エコパウチを使用したガム「POs-Ca(ポスカ)」
江崎グリコでは、エコパウチを使用したガムの販売代金の一部から公益社団法人 国土緑化推進機構の「緑の募金」に寄付をしています。東京都の2050年CO₂排出実質ゼロを目指す「ゼロエミッション東京」の取り組みに賛同し、CO₂削減クレジット10,836tを東京都に寄付しました。(2020年1月)