熱中症予防に役立つ「暑さ指数(WBGT)」をご存知ですか?

水分補給やクエン酸でカラダをリセット

熱中症が起こりやすいかどうかを教えてくれる指数WBGTをご存知ですか?暑さ・湿度・熱を総合して測定されるこの指数は暑い時期の熱中症予防にとても役立ちます。日常生活に役立つWBGT活用法をお伝えします。

暑さ指数(WBGT)とは

WBGTは、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称です。暑熱環境下の労働の目安としてISO等で国際的に規格化されているものでもあり、運動時にもWBGTを採用した熱中症防止の指針が発表されています。
単位は気温と同じ摂氏(℃)が使われ、湿度・熱環境(日射・輻射)・気温の3つを総合して専用の機器を使用し測定されています。

環境省では平成18年よりWBGTの実測値(9地点)と実況推定値(832地点)を熱中症予防情報サイトにて公開しています。平成28年度は5月より情報提供が予定されています。
熱中症予防情報サイトでは、気象庁の数値予報データをもとに、全国841地点について「今日」・「明日」・「明後日」の3日分、3時間ごとの暑さ指数(WBGT)の予測値を提供しています。

WBGTの測定方法

WGBTの値は以下のような計算式で算出されています。

屋外で日射のある場合

WBGT(℃)=0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内及び屋外で日射がない場合

WBGT(℃)=0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

通常の天気予報で発表される気温は一定の気流のもと、日陰で測定されているので注意しましょう。

測定方法について詳しくはこちら
環境省、熱中症予防情報サイト

日常での使い方

熱中症対策のひとつとして、どのくらいの強度で体を動かすのが安全なのか把握するためにも、WBGTを活用してみましょう。成人男性を標準と想定された指針なので、高齢者・子供、体力が落ちている場合などは特に注意する必要があります。

日常生活に関するWGBT指針

温度基準(WBGT) 注意すべき 生活活動の目安 注意事項
危険 (31℃以上) 全ての生活活動において 起こる危険性 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒 (28~31℃*1) 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒 (25~28℃*1) 中等度以上の生活活動でおこる危険性 運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
注意(25℃未満) 強い生活活動でおこる危険性 一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

*1:(28~31℃)及び(25~28℃)については、それぞれ28℃以上31℃未満、25℃以上28℃未満を示します。

出典:環境省 熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)

運動に関する指針

体温上昇・発汗をともなう運動時は熱中症が起こりやすくなります。
トレーニング前にWBGTをチェックしておきましょう。屋外はもちろん、空気がこもりやすくなる室内でのスポーツにも有効です。
剣道など防具等で熱がこもりやすくなる種目は予測値より上がる可能性があるので、注意しましょう。

気温(参考) WBGT温度 熱中症予防運動指針
35℃以上 31℃以上 運動は原則中止 特別の場合以外は運動を中止する 特に子供の場合は中止すべき
31~35℃ 28~31℃ 厳重警戒 (激しい運動は中止)(28~31℃) WBGT28℃以上では、熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。
運動をする場合には、10~20分おきに休憩を摂り、水分・塩分の補給を行う。体力の低い人、暑さに慣れていない人は運動中止。
28~31℃ 25~28℃ 警戒 (積極的に休息)(25〜28℃) WBGT25℃以上では、熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり適宜、水分・塩分を補給する。
激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。
24~28℃ 21~25℃ 注意 (積極的に水分補給) WBGT21℃以上では、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
24℃未満 21℃未満 ほぼ安全 (適宜水分補給) WBGT21℃未満では、通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

出典:環境省 熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)
引用:公財 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)

熱中症を防ぐために必要なこと

WBGTが28℃を超えると熱中症の発生率が急増します。
屋外に出る際は帽子を着用したり、こまめな水分・塩分補給を行いましょう。
身体に熱がこもらないよう、通気性の良い服を着用することもよいでしょう。

詳しくはこちら「要注意!熱中症の症状と対策とは

まとめ

同じ気温のはずなのに、きついと感じていた日はWBGTが高かったのかもしれません。ひとたび熱中症にかかると体に大きなダメージを与えてしまいます。快適に過ごすためにも熱中症対策にWBGTのチェックを加えてみませんか?
暑さへの順化を整えるための、対策のひとつとして活用してみてください。

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