災害対策コラム
危機管理アドバイザー 国崎 信江 氏

危機管理アドバイザー

国崎 信江 氏

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日本の国土は多様な自然災害が多発する地域に位置しています

はじめに、わが国をとりまく地理的・気象的な特徴について整理してみましょう。
わが国の国土の下は大きな4つのプレートが入り組んで存在している複雑な地殻になっています。
これまでの災害史で100年から150年の間隔で巨大地震が発生しており、南海トラフ地震は2030年代には起こると言われています。±10年の幅を考慮すると2020年代から2040年となり、2022年時点この範囲内。まさにいつ来てもおかしくない状況です。地殻変動への心配は南海トラフだけではなく、東日本大震災の余震や首都直下地震、千島海溝、富士山噴火など他にも多くあります。それに加えて、1707年に南海トラフ沿いを震源域と考えられている宝永地震が起こり、その49日後に富士山の宝永の大噴火が起こったように、地殻変動は連動しているという観点から考えると、心配はさらに増大します。
次に、わが国は国土の約3/4が山地であり急峻な箇所がたくさんあります。同時に河川は短く細く、蛇行している箇所も多くあり洪水になりやすい地形になっています。
以前と比べて、上陸する台風の数は大きく変わっていません。ただ地球温暖化の進行により海面温度が上昇、水蒸気の量が増えることで積乱雲の発達が活発化することで、以前と異なりひとつひとつの台風が巨大なものとなり、活発化した積乱雲が帯状になって線状降水帯が発生します。
巨大な台風は広範に、線状降水帯は局地的に大雨をもたらします。また、日本は面積の51%が豪雪地帯でもあります。

以上のように小さな島国であるわが国は、地震とそれに起因する津波・土砂災害、台風や高潮、火山噴火、雪害、と言った世界的にみても稀なほど、多様な災害が多発する危機にさらされているという特徴があります。
そんな日本で生活するわたしたちは、「災害がいつ起こってもおかしくない国に住んでいる」という観点で、高い防災意識を持っておかねばなりません。

国崎 信江 氏 プロフィール

危機管理教育研究所 代表危機管理アドバイザー

【主な経歴】

横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、内閣府「防災スペシャリスト養成企画検討会」委員、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『保育者のための防災ハンドブック』(ひかりのくに)などがある。
https://www.kunizakinobue.com/