災害対策コラム
危機管理アドバイザー 国崎 信江 氏

危機管理アドバイザー

国崎 信江 氏

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「家庭内流通備蓄」を実践し、身近なところから防災備蓄対策を始めましょう。

わたしは活動の中で子どもたちに「このような国に住んでいながら、なぜ防災意識が低いのでしょう?」と尋ねることがあります。きょとんとしながらも「(毎年のようにどこかで災害が発生しているにもかかわらず)来ないと思っているから。」という回答がくることがあります。
他方、防災関連商品は災害が発生するとすぐ急激なニーズが発生しますが一過性の短期間なものになってしまっていて、災害があるたびごとそれを繰り返しているように思えます。

これは「日常」と「災害」を頭の中で切り離してしまっているからではないでしょうか。
前の章でお話いたしました通り「災害がいつ起こってもおかしくない国に住んでいる」わたしたちは、家庭での生活の中に「防災」を溶け込ませていき、定着・習慣化し根付かせていくことが大切です。

そのためのひとつとして、例えば防災対策と言えばまず「非常持ち出しリュック」のような、「防災」の固定観念にとらわれすぎないようにすることです。
在宅避難の場合は在宅避難に適した備蓄品があったり、わたしは「 しあわせ備蓄 」と呼んでいますが、備えることがしあわせにつながるような、自分にとって備蓄しやすい方法もあるはずです。日常生活での知恵をうまく防災にも取り入れていくことができれば防災対策はよりよいものになると考えます。

具体的なご家庭での防災備蓄として「家庭内流通備蓄」をおすすめしています。
25年前のわたし自身の話で、当時非常食やお茶・水を3日分備蓄していました。それが賞味期限間近になった時、切り替えのため3日間3食ずっとそれを食べたことがあります。正直苦痛でした。
それ以後は、日頃から食べなれた、栄養価のある、それもおいしいものを備蓄し、定期的に日常生活でも食べて、食べてなくなった分を補充していくという方法に切り替えました。
防災における自助の要素でこの「家庭内流通備蓄」は、日常備蓄、家庭備蓄、ローリングストックともいわれるもので、ご家庭での防災備蓄食料を考える際の大切なポイントです。

この点において、今回紹介いただいた長期保存のレトルトカレー「グリコ常備用カレー職人」は通常より小売店で販売されています。少し前まで防災備蓄用食品といえば、防災の日前の短い期間で店頭に販売されるだけでしたが、時期にかかわらずいつでも買い求められるようになったのはわたしとしては嬉しいことです。
そしてもう1点、液体ミルクに関して普段使いをより広げていくこと、お母さんでなくても、また外出時にも授乳ができるという利便性をもっと多くの方に知ってもらうことが大切です。

国崎 信江 氏 プロフィール

危機管理教育研究所 代表危機管理アドバイザー

【主な経歴】

横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、内閣府「防災スペシャリスト養成企画検討会」委員、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『保育者のための防災ハンドブック』(ひかりのくに)などがある。
https://www.kunizakinobue.com/