ご当地ポッキー!その開発ストーリーに迫る!

ご当地ポッキーの開発者に迫る

地域の味が手軽に楽しめるご当地お菓子。みやげ物売り場で見かけることも多くなりました。2016年2月に、ご当地お菓子の定番「地域限定お土産ポッキー」が「ご当地ポッキー」として大リニューアルするという噂を聞きつけ、開発を担当したお二人にお話を伺いました。

ご当地ポッキーの開発担当者

左:マーケティング本部 商品開発研究所 チョコレートグループ 鋤本浩司さん
右:マーケティング本部 チョコレートマーケティング部 三木孝司さん
(※所属は取材当時)

定番商品「ポッキー」のさらなる可能性とは?

「ポッキー」といえば、Glicoのなかでも主軸を担う商品。もはや知らない人はいないと言っても過言ではない定番中の定番のお菓子です。そんなポッキーのさらなる可能性を求めて、マーケティングの三木さんが目をつけたのが、「地域限定お土産ポッキー」でした。

「ポッキー」のさらなる可能性とは

三木氏――
今回のリニューアルにあたっては、お土産物売り場を徹底的に調査しました。3時間くらい売り場をうろうろしたりして…。かなり怪しかったと思います(笑)。でもそんな中で、ポッキーはお土産市場に対してまだまだできることがあるな、と感じたんです。
今までのご当地お菓子って、一般のお土産と異なりシャレや話題のために買っていくというニーズに応えてきたと思うんです。でも、時代の主流は社会人が会社でも配れるお土産、“カジュアルだけどちゃんとしたお土産”にポッキーもなれるんじゃないかって。そこが今回のリニューアルの始まりですね。

コンセプトは「ご当地の味覚をまとったポッキー」

今までの地域限定お土産ポッキーは、「大きなポッキー」「地域限定発売」といった点での話題性、おもしろさがウケていたのだと思います。ただ、お土産としてもらってうれしいお菓子にするためには“おもしろい”だけではなくて“おいしそう”と感じてもらわなければ…。そこで掲げられたコンセプトが「ご当地の味覚をまとったポッキー」。地元感、味覚に徹底的にこだわった「ご当地ポッキー」の商品開発がスタートしました。

「サプライズ」のあるポッキーに!味、品質をすべて見直し。

味、品質をすべて見直し

鋤本氏――
「ご当地の味覚をまとったポッキー」として認めてもらうには、少しのレベルアップではなく、三段階くらいはレベルアップさせなくてはダメだと思いました。そのため、今回、軸、クリーム、全体のバランス、をすべていちから見直しました。まず、軸の部分ですが、以前はビスケットタイプを使っていました。大きくて食べごたえはあるのですが、どうしても粉っぽくて、大味な感じになってしまっていたんです。今回はそれをイースト発酵させたプレッツェルに変更。組織がしっかり膨化し、表面パリッと、内部がさっくりとした食感となり、口どけも良くなっています。また、一本一本にオイルコートを施してバターの風味を感じるプレッツェルに仕上げています。一本ずつを人に贈るものなので小さくてはダメ。長さと太さを確保しながら、まっすぐ焼くのに試行錯誤を繰り返しました。これまで「バトンドール※」を作ってきた技術も活かしています。

※バトンドールについてはこちら

全面的に改良

上:旧来の「地域限定お土産ポッキー」
下:リニューアル後の「ご当地ポッキー」

ベースのクリームはミルク分を以前の3倍にして風味を増したのに加えて、フレーバーを全面的に改良しました。夕張メロン果汁は夕張市農業協同組合様、巨峰果汁はJA全農長野様、宇治抹茶は辻利一本店様より仕入れています。それぞれパウダーを練り込んでクリームを作っていくのですが、それだけでは見た目も味も単調になってしまいます。そこで、夕張メロン、信州巨峰にはパウダーだけではなく顆粒を、宇治抹茶には碾茶と呼ばれる茶葉も混ぜて食感、風味にアクセントを持たせ、見た目にも高級感を感じられるようにしています。袋を開けた瞬間から「おいしそう!」という期待感が生まれ、実際に食べてみて納得していただける商品になったと思います。

地域限定お土産ポッキ

最後に全体のバランス。今までの地域限定お土産ポッキーは、軸:クリームが3:2だったのですが、今回1:1にしました。これはレギュラーサイズのポッキーで、最適とされている比率です。この比率にしたことで、以前よりも果汁感、抹茶感は濃厚となり、贅沢感はUPしています。ただ、ここが技術的にとても大変で…(笑)。お土産ポッキーは長くて太いため、均一に、しかもたっぷりと付けるのに苦労しています。実はまだ調整中※なんですよ。
※2月2日(火)発売、取材は1月20日(水)。

自信を持って贈れる、もらってうれしいギフトへ。

商品のリニューアルと合わせて、パッケージもイメージを一新。高級感を演出した新パッケージには、細部に至るこだわりが隠されていました。

三木氏――
お土産物売り場を観察していて気づいたのですが、皆さんお土産を一箱だけ買っていくというようなことは少ないんです。会社などで配る用だと思うのですが、何箱かまとめ買いをされるんですね。女性がすごく持ちにくそうにしていたのが印象的で。そこで、今回は女性でも2箱3箱持ちやすい大きさというのにこだわっています。コンパクトな箱に15本詰め込みました。
デザインは「ご当地の味覚をまとったポッキー」というのをそのまま表現していて、ポッキーの軸を夕張メロン、信州巨峰、宇治抹茶が包み込んでいるイメージです。よく見ていただくと分かるのですが、デザインに合わせて凹凸加工をしたり、ニスの仕上げで手触りが変わるシカケをしています。夕張メロンはメロンの節に合わせてニス加工をしていて、パッケージでも素材感を楽しんでもらえると思います。

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お土産用ポッキー「ご当地ポッキー」を人と人とをつなぐ架け橋に

三木氏――
今回のリニューアルにあたって、地元の方ともたくさんお話をしたのですが、その中で農家さんが「これは孫に自慢できる」とおっしゃっていたのが、とても心に残っています。単なるメーカーがつくったお土産菓子というのではなく、地元の方にも愛されて認めていただけるものにしたかった。そして、地域の人たちと旅行者やその周りの人たちとをつなぐ架け橋になれたらいいなぁと感じています。地元ポッキーにしかできない「Share happiness! (シェアハピネス)」をつくっていきたいですね!

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  • ボルダリングが趣味。重力とたたかうディレクター

    ボルダリングが趣味。重力とたたかうディレクター

    岡本典子