商品開発研究所長から

Q. Glicoの商品開発研究所は、どのような仕事をしているのですか?

宮木:お客様のニーズ、ウォンツに応えた企画をお客様に満足して食べていただけるレベルの食品にまで具体化するというのが、商品開発研究所の仕事です。新しい商品を開発するといっても、この世にいままで無かったまったく新しいお客様が奇異に思うような商品を作るのではありません。地道な研究をしながら、味を変えたり、香りを変えたり、色やサイズを変えたりして、お客様が食べ慣れたものをさらにおいしく、食べやすく加工することで魅力ある商品を開発していきます。お客様が気づかなかったような味や食感の商品は作りますが、新しさや面白さだけでは受け入れられないし、開発者の自己満足でしかありません。お客様の求めるものも時代によって変化していきますので、その変化も意識した商品開発が必要となります。

Q. Glicoの商品開発研究所の独自性というのは、どういうところにあるのでしょうか。

宮木:商品を買って頂き、中身を食べてもらって「ああ、おいしかったなぁ。また買ってみようかな」と思っていただくのが我々の仕事だと思っています。リピートされなければ、我々の仕事ではありません。リピート率が下がってくるというのは、中身を作っている者の恥ですね。そのために原材料や生産設備の知識とお客様から声を結びつけて品質の高い商品を創る機能が我々の独自性ではないでしょうか。商品開発という仕事は、リレーで言えば第一走者のようなものです。でも、第二走者(生産部門)にバトンを渡したらそこで終わりではありません。第三走者(品質管理)、第四走者(流通現場)まで見守る、あるいは並走していく。つまり企画段階からお客様の口に入るところまでが、我々の仕事だと思っています。

Q. Glicoならではの品質、開発のこだわりは何でしょうか。

宮木:Glicoには90年を超える歴史がありますが、創業当時は後発メーカーだったために他社との差別化して市場に進出することが必要でした。また今のような食料が潤沢ではなかった時代背景もあり、差別化戦略だけで商品が売れていく時代でした。しかし今は市場には食品があふれ、競合環境もますます厳しくなってきました。したがって、お客様のためにならない差別化はしません。作ろうと思えば、赤いアイスクリームも紫のカレーライスも作ることはできます。でも、買いたいと思いますか(笑)。ただ単に色が違うというだけでは、目先の差別化でしかありません。お客様にとって、「おいしかったな。」「恋人に贈ったら喜ばれた。」「料理の時間が短縮できた。」「よく眠れたな。」「元気になってきたなぁ。」などといった実感、価値観を感じさせる差別化こそが、Glicoの開発だと思います。

Q. 商品開発研究所の人材育成についてお聞かせください。

宮木:研究所にいるスタッフには、「早く一人前になれよ。」と言っています。一人前というのは、原材料、食品加工技術の知識があり、製造プロセスを知っていて、お客様の気持ちがわかる人。自分のできる範囲がわかっていて、自分のできない部分は他人に聞いたり調べたりできる人、そして論理的思考力をもって決断ができる人のことだと思います。ただものを作れるということではなく、社会人としてコミュニケーションが取れ、他部門を巻き込みリーダーシップを取って必要な仕事を推進できる人です。社内外どんなところでも活躍できる人間を育てるようにしています。理系出身の人材を一人前の社会人にするのが、商品開発研究所の仕事です。
自分で仮説を作り、論理的に考え、最短ルートを判断できるという理系の人材であれば、専攻は問いません。どの学科であろうと、一人前に育て上げます。ただ、もの作りが好きな人、食べるのが好きな人、食に興味がある人でないと、この仕事は向いていないかもしれません。

Q. 商品開発研究所で実現したいことは何でしょうか。

宮木:先ほど、お客様に買って頂き、口にしてもらって、再び店頭でリピートしてもらうのが商品開発研究所の仕事という話をしました。リピートが繰り返されれば、安定して売れるようになり、やがて定番となります。30年ほど売れ続ければ、親が自身の子供に食べさせるようになり、定番がブランドになります。もちろん、親が食べていた時代とは、商品のおいしさ、硬さや量、大きさ、価格などは改良と変更を重ねていて、まったく同じものではありません。それでも子ども時代に食べたものは、自分の子どもに食べさせます。子どもは親が食べているものは、安心して食べます。時代の変化やお客様の好みを取り入れながらも、親から子へと受け継がれるような息の長い商品を一つでも多く開発できたらと思い仕事をしています。