健康科学研究所長から

健康科学研究所長から
健康科学研究所長

Q. Glicoの研究部門は、どんな仕事をされていますか?

栗木:「Research&Development」基礎研究から応用研究までをカバーするチームと、「Development&Production」マーケティングと連動して商品開発し生産技術にまで落とし込むチームが、連携・共同して研究開発を進めています。Glicoの「基礎研究」というのは、どういう事業を目標に、何を作りたいか、事業のアウトプットを考えた基礎研究だというところが大学などの研究機関とは違います。Glicoの研究は、実は世界的に権威のあるジャーナルに数多くの論文を発表し、世界中の科学者がそれを引用するレベルのものなんです。さらに、そのサイエンスがサイエンスで終わらず、事業や商品として実用化されるところがGlicoの研究所の凄さだと自負しています。

Q. 「POs-Ca™」や「ビフィズス菌 BifiX®」「パプリカキサントフィル」など、Glicoが独自に開発して商品に応用されている新素材も多くあります。

栗木:そうですね。もう組織変更していますけれど、Glicoのひとつの研究所は、もともとマテリアルサイエンス、新しい素材で新しい事業を作ろうということを目指していました。私、1992 年に、「江崎グリコは食品 “も” 売ってた会社になる」と言ってるんですよ(笑)。その心意気は今も研究所の中にあります。実際に新事業を生み出した素材もありますし、従来の事業分野で新たな商品となった素材もあります。

Q. ヘルスサイエンスや味覚サイエンスにも特化されていますよね。

栗木:ヘルスサイエンスの分野では、腸内環境改善や口腔環境改善に力をいれています。Glicoは、「なんとなくカラダに良さそう」ではなく、「病気になるメカニズムはどうか?」「どうすれば予防できるか?」という観点から、どんな物質が必要か、どんな食品が良いか考えることを重視しています。モノありきで商品にどう使うかというアプローチでは決してないということです。そこが実は非常に大きな差別化ポイントだと思っています。
また、おいしくなければスマイルは生まれません。目的を持って食べる健康食品だって、おいしくないと続きません。それにおいしさは人と人をつなぎますよね。心身の健康に貢献するために、おいしさの研究はとても大事なんです。

Q. Glicoの研究部門は、どんな仕事をされていますか?

Q. 商品開発も、基礎に科学的な裏付けがあるわけですね。

栗木:ええ。ただ、実際にはお客様に評価されなければ、いくら良い商品だと言ったところで食べてもらえません。そこはマーケティングとしっかり連携して進めています。
また、ユニークな商品を世に出すためには、生産技術開発というのも非常に重要です。「アイスの実」という商品には、アイスを丸く作る技術と生産ラインが必要です。「ビスコ」の間にクリームを挟むのも、機械と素材の両方の工夫が必要なんです。だから研究開発部門は R&D だけでなく、生産までに責任を持つ体制を構築してます。

Q. 近年オープンイノベーションが進んでいますが、Glicoに、素材開発からできる研究部門がある理由は何だと思われますか?

栗木:社会的使命があるかどうかです。Glicoは事業が成り立てばそれでいいとは考えていません。本当においしいものを作る、本質的に健康課題を解決する物を作るという使命があるから、目的を持った基礎研究が絶対必要なんです。
例えば健康に良いという食品を、お客様は信じて買ってくださるわけです。それを裏切るようなものは決して売ってはいけませんよね。だから良い商品を作りたい。そのために良い素材を使いたいんです。誤解してほしくないんですが、決して自社開発素材にこだわるわけではありません。自社の素材が良いなら一番ですが、他社で開発されたものがより良いなら、自社に導入することを躊躇しません。ただ、自社の中に、少なくとも新機能・新技術を理解して応用できる力がないといけないのに、外からただ持ってきて使うだけのオープンイノベーションでは成り立たないでしょう。「社会的使命を果たすという気構え」と「サイエンス」がなかったらダメなんです。

Q. なるほど。外部の技術を判断するにも、高度な科学的知見が不可欠と言うことですね。社内的にはどんな役割がありますか?

栗木:企業は、全員が同じベクトルで、一体となって社会的使命を果たすということが大切ですよね。研究開発部門もマーケティングや工場の人間も。ただし、マーケティングや研究開発などの戦略部門は、ただ前だけを見てるだけでいいわけではありません。触角をしっかり振る必要があると思うんです。周りの状況や先を広く観察して、障害物やより良い道がないか可能性を探るということ。それを科学の側面から実践するのが研究開発部門の役割です。隣接分野だけでなく、できるだけ遠くの分野の人と交わったほうが可能性が大きくなるというのが私の考えです。だから採用でも専門分野をやっていたかどうかは関係ないですね。既存の知識より、研究に必要な論理的思考を見せてもらいます。そしてパッションがあるかどうか。専門分野は生化学の基盤があれば十分です。